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OKRに役立つKPIの設定の仕方と管理のコツ

KPIイメージ

目的と関連付けでKGIとKPIによるトヨタ的「目で見る管理」で目標を達成させる

最近注目されているOKR(Objective Key Results)ですが、KGIやKPIと組み合わせることで目標達成に向けた取り組みのレベルが高まります。KGIとKPIを分けて管理する方法はトヨタ生産方式の「目で見る管理(見える化)」の異常を顕在化させて管理する考え方と共通のアプローチです。
OKRとKGI・KPIの関係とKPIの設定の仕方と管理のコツを事例を示して説明します。

 <目次>
OKRとは~KGIとKPIとの関係
KGIとKPI
KPIの設定手順
KPIの目標や管理基準の設定
KPIによる異常の見える化と管理方法

OKRとは~KGIとKPIとの関係

OKRとKGIとKPIの関係説明図

OKRとは、Objective Key Resultsの頭文字をとった組織の目標管理のフレームワークです。
目標管理のMBOとの違いは、MBOが主に個人の目標管理を対象とするのに対して、OKRは組織やチームの目標管理を対象としていることにあります。

OKRは、組織の目的(Objective)を実現する重要結果(Key Results)と関連付けで管理するものです。
KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)やKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は、目的(Objective)達成に向けた結果(Key Results)の状態を示すモノサシです。
Objectiveは、定性的に表された「めざす姿」であり、組織の達成したい夢です。
Key Resultsは、Objectiveが達成されたことを定量的に判断する実績です。
KGIは、Key Resultsを測定するための指標=モノサシです。
KPIは、Key Resultsの達成に向けて、過程の適切性を測定するための指標=モノサシです。
トヨタの目で見る管理でいうところの結果指標がKGIで、管理指標がKPIと言えます。

OKRが登場する前、KGIやKPIによって組織の目標管理が行われていましたが、数値だけが独り歩きして、目的(Objective)の達成に向けた取り組みであることが忘れられてしまうこともありました。
トヨタの目で見る管理=見える化でも、指標によって「見えるようにする」ことを目的化するような取り組みをしている組織も少なからずありました。
OKRでは、目的(Objective)が主役であることを強く示しています。
ですから、あえて、Objectiveを定性的に表し、その結果をKey Resultsとして関連付けて扱うことを求めています。

KGIとKPI

管理項目とKGIとKPIの関係説明図

合理的な経営や管理を行うためには、管理対象の適正性を判断する管理項目を決めて、測定や監視を行い、適切な状態から外れたときに対処できるようにします。

管理項目には、結果系の管理項目と要因系の管理項目があります。

結果系の管理項目は、最終的に企業や組織が求める結果を判断する項目です。
仕事を実施した結果としての成果を判断するものです。
結果系の管理項目のモノサシがKGI(Key Goal Indicator)です。
KGIは、重要目標達成指標と呼ばれ、達成したい目標の結果の程度を示す数値データなどです。

要因系の管理項目は、結果を生み出す基となる施策や行動の適正性を判断する項目です。
仕事の実施上の異常の有無や程度を判断するものです。
要因系の管理項目のモノサシがKPI(Key Performance Indicator)です。
KPIは、重要業績評価指標と呼ばれ、目標を達成するための過程・行動の程度を示す数値データなどです。

それでは、結果系管理項目のKGIと要因系管理項目のKPIの関係について整理してみましょう。

経営や管理において、めざす姿や目的(Objective)が設定されています。
そのめざす姿や目的を具体的に示したものが、結果系管理項目となります。

いつまでに、何を、どの程度にするかを明確にしたものです。
このとき、「何を」に相当するのがKGIとなります。

次に、めざす姿や目的の実現のために実施する施策や行動を決めます。
その実施すべき施策や行動の適正性を具体的に示したものが要因系管理項目になります。

いつまでに、何を、どの程度になっていることが、適正なのかを明確にしたものです。
このとき、「何を」に相当するのがKPIとなります。

通常、経営や管理では、KPIを使って、管理をします。

KGIで示された目標は、その達成の程度を、人が自由に操作できるものではありません。
自分たちを取り巻く環境の中で、最大限の努力を積み上げた結果として得られます。

しかし、努力しても、環境変化や自分たちを上回る競合の努力などによって、求める結果が得られないこともあります。
ですから、KGIで管理しても、自分たち以外の要因で、結果が左右されてしまうため、適切な管理ができません。

一方、KPIで示された目標は、人の意識と行動によって、達成の程度を操作することができます。
人の意識や行動によって左右されるのがKPIですから、人の意識や行動の適正性を評価し管理することに適しています。

KPIの設定手順

それでは、KPIをどのように設定するのか説明していきます。

目的達成に向けた行動(施策)の設定

KPIの設定のための行動の定義事例

KPIは、目標達成に向けた過程における取組み=行動の適正性を判断する指標です。
ですから、最初に、適正性を判断すべき行動を明確にすることから始めます。

求める結果を得るために、業務のプロセスにおいて、必要かつ適正な行動が取られていることが必要となります。

業務プロセス毎に、KGIが良い結果となることに貢献する行動を明確にします。

例えば、設計プロセスにおいて、人件費の削減に貢献する行動は、設計の自動化の推進です。
材料費の削減には、廉価材料でも成り立つ設計にすることです。
購買プロセスでの材料費削減は、価格交渉と転注です。
このように、プロセス毎に、KGIから、貢献する行動を導き出していき、行動の適正性を測定・監視する対象を明確にします。

KPIの設定方法

KPIの設定事例

行動が明確になったら、その行動の適正性をはかるKPIを明確にします。

KPIは、その行動が、求める結果を導き出すことに貢献する適正なものとなっているか、測定・監視するモノサシです。
その行動を直接的に測定できるものでなければなりません。

直接、測定できない場合は、別の指標を考えるか、測定方法を開発します。
新しい分野や技術の開発に関するKPIは、測定方法の開発も同時に行うことはよくあることです。

プロセス毎、行動毎に、KPIを定めていきます。
KPIの数値が上がると、正しい行動が増えていくことになる指標を考えます。

行動の適正性は、行動の回数や割合によって判断できることが多いため、必然的にKPIは、回数や割合によるものが多くなります。

KPIがうまく定義できないときは、行動を見直すと解決できることがあります。
より良い状態を示す修飾語の入った行動名を考えてみてください。

KPIの目標や管理基準の設定

目標と管理基準の説明図

KPIが決まったら、KPIの目標や管理基準を設定します。

目標や基準を設定すると、それを満たさないモノが見えてきます。
目標や基準を満たさないモノが異常です。

ただちに、KGIの結果を満たさない問題を引き起こすわけではありませんが、放置しておくと、結果を満たさない原因となります。
すぐに異常を正常に戻す処置を開始します。

このように、KPIの目標や基準によって、正しくない行動である異常の目で見る管理を行います。
異常が、目で見る管理をされることにより、その異常を正常に戻そうとするPDCA管理ができるようになります。
トヨタ生産方式の目で見る管理=見える化も、OKRも異常を顕在化することが管理の基本となります。

KPIによる異常の見える化と管理方法

KPIの異常にはどのようなものがあるか紹介しながら、その異常への対処方法を説明していきます。

結果と行動の整合の異常

結果と行動の整合異常の説明図

最初の異常は、結果と行動の整合異常です。

適正な施策や行動がしっかりとできて、KPIは予定通りに進んでいるのに、KGIは予定とは違う動きになり、望む結果が得られないという異常です。
本来、KPIが良くなれば、KGIも良くなるはずですが、そうならないというものです。

このような結果と行動の不整合の原因は、そもそも、選んだ施策や行動が、望む良い結果を生み出すことに貢献する施策や行動ではなかったというものです。
施策や行動は予定通りでき、KPIも良くなっている場合は、施策や行動の選択の不適合が原因です。
もう一度、良い結果を生む事に貢献する施策や行動を考えてみましょう。

次は、KPIが不適切という異常です。
KPIは良くなっているけれど、正しい施策や行動ができている確証が感じられない場合、または、KPIは良くないけれど、正しい施策や行動ができていると確信できる場合が該当します。
施策や行動の適正性をきっちりと測定できる指標をもう一度考えてみましょう。

当初、前提としていた環境と大きく異なり、採用した施策や行動が有効で無くなった場合も、望む結果が得られません。
新たな環境で、もう一度、施策や行動を再検討することは当然ですが、環境変化を最初に予測できなかったこと、考慮できなかったことについて、その原因を分析して対策しましょう。

環境が変わっていくのは当然のことです。
環境変化を織り込み済みの施策や行動を考える力をつける取り組みが重要です。

最後は、単純な測定ミスです。よくあることです。異常が見つかった場合、一番最初に測定ミスを疑いましょう。
測定ミスがないと確認できてから、他の原因を検討しましょう。

行動できない異常

行動できない異常の説明図

次の異常は、KPIが予定通り推移しない、行動できない、行動しない、という異常です。

測定ミスもない、施策や行動とKPIにズレはなく、明らかに行動できていない、行動しない状態になっている異常です。
KPIによる管理をすることで、行動しない、できないということが、はっきりと目に見えるようになります。

最初の原因は、「忙しくてできない」というものです。
毎日、夜遅くまで仕事をしていて、毎週、休日出勤となっている場合なら、まず、負荷を減らす取り組みをしなければなりません。

しかし、そこまで負荷がかかっていない場合は、優先度の問題です。
その人にとって、実施すべき施策や行動の優先度が他の仕事に比べて低いものとなっています。
このような場合は、きっちりと納期を明確にして、優先度を高めさせます。

納期を示しても、優先度が上がらないのは、もう一つの原因の「やる気」の問題などが考えられますので、そちらの原因も探っていきましょう。

「やる気がない」という原因もよくあります。
目的や必要性などを十分に説明しないまま、施策や行動だけを指示すると、この「やる気がない」という原因で行動が開始されません。
目的や必要性を説明したり、施策や行動を定義したり、設定する時から参加させたりして、やる気を引き出す取り組みをしましょう。

また、「何をするのかわからない」という原因もよくあります。
施策や行動が、今現在のやり方や方法とかけ離れている場合、何をしていいのか、どのようにすればいいのか、わからずに手がつかないという状態となります。
今と大きく異なるやり方や方法、難しい手法を使うような場合は、そのやり方や方法についての教育・訓練や手順の設計などの準備や能力開発を行いましょう。

また、「誰がやるのか決まっていない」という原因もよくあります。
みんなでやってほしくて、担当を指名しないようなとき、誰も、自ら率先してやろうとはせず、結局、誰もやらないということになります。
チームで取り組ませる場合でも、推進責任者や管理責任者を指名して、実行させる役割を明確にして、責任者が誰に何をさせるか計画して取り組ませるようにします。
一人ひとりの役割を規定した体制表をつくるのも有効です。

行動のバラツキ異常

行動のバラツキ異常の説明図

最後の異常は、行動のバラツキ異常です。
行動が安定しない異常です。
たくさんやったり、少ししかできなかったりと、施策や行動への取り組みが不安定な状態となっている異常です。

ばらつく原因の一つは、行動計画がないというものです。
施策や行動をいつ行うのか、具体的な行動計画がなく、時間のあるとき、暇なときに行うというような進め方では、やったりやらなかったりのバラツキが大きくなります。
きっちりと施策や行動の具体的な計画を明確にして、計画に基づいて行うようにしましょう。仕事の繁閑に左右されないようにします。

担当が明確にされていないことによっても、行動のバラツキは発生します。
当番制であったり、時間のある人が行うなど、実施担当が明確になっていないとバラツキが発生します。
場合によっては、誰もやらないということにもなります。
実施担当を明確にして、担当が計画的に取り組む体制にしましょう。

施策や行動が大きすぎて、1つの施策や行動が完了するまで時間がかかりすぎる場合も、バラツキが発生します。
大きすぎると、取り組んでいる間は、KPIに何も変化がありません。
完了したときに、急に大きくKPIが変化するというようなことが起きます。
リスク回避の点からも、施策や行動は、小さく、こまめに実施していくことをお勧めします。

施策や行動のサイクルとKPIの測定サイクルが合っていないと、指標だけを見ているとバラツキが発生しているように見えます。
施策や行動の完結した直後にKPIの測定サイクルがくるようにすれば、KPIは安定して推移するようになります。
施策や行動のサイクルとKPIのサイクルを合わせて、施策や行動の本当の進捗状況が見えるようにしましょう。

【この記事を書いた人:

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