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パワハラとは~定義と発生の原因となる4つの背景と対策方法

パワハラされている社員

パワハラの被害者にも加害者にもならないための対策

パワハラは必ずしも上司と部下の間だけに発生するとは限りません。誰もが被害者・加害者になり得るのです。仕事におけるパワハラには6つのタイプがあり、パワハラを引き起こす原因とも言える背景は4つあります。これらパワハラの基本知識を理解し、パワハラの被害者にも加害者にもならないための対策について紹介します。

 <目次>
パワーハラスメントとは~定義~
パワハラが被害者にもたらす影響
パワハラが加害者にもたらす影響
パワハラが企業にもたらす影響
パワーハラスメントの6つのタイプ
パワハラの背景の認識と発生の認識の重要性
パワハラを引き起こす4つの背景と未然防止のための対策
パワハラ被害の深刻化・拡大の防止の取り組み



パワーハラスメントとは~定義~

パワハラの説明図

パワーハラスメント、いわゆるパワハラとは何でしょうか?
一般的には、組織内での地位や権限を利用したいじめや嫌がらせのことを指します。

では、職場におけるパワーハラスメントとは何でしょうか?
パワハラの定義は、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

パワーハラスメントは、上司から部下に対して行われるものというイメージが強くあり、実際に、発生件数も多いのですが、それだけではありません。
パワハラは、先輩から後輩に対してもあります。
そして、同僚の間でも発生します。

また、上司より部下が専門知識やスキルに優れている場合など、部下から上司へのパワハラも起こります。
正社員などの正規労働者から、契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなどの非正規労働者に対してのパワハラもあります。
他にも、取引先の社員との間で発生する場合もあります。

このように、職場内には、何かしらの優位性を持つ強者と、弱者が存在します。
強者と弱者が際立つことになれば、誰でも、パワハラの加害者・被害者になり得るのです。
 

パワハラが被害者にもたらす影響

パワハラの被害者への影響の説明図

パワハラはどのような影響もたらすでしょうか。

被害者にもたらす影響は、
パワハラによって、日々のストレスが増加していきます。
パワハラは、人権侵害であり、人としての尊厳が侵害されます。
結果として、被害者のやる気を削いでいきます。
そして、仕事において能力が発揮できなくなります。

自尊心も低下し、自分はダメな人間だと思い込んでしまったり、自分には価値がないと感じてしまったりする被害者が多くいます。
被害の影響で、仕事で能力が発揮できなかったり、出社できなかったりする自分を、責める場合もあります。
パワハラが繰り返され、被害が深刻になっていくことで、メンタルヘルス不調になってしまい、精神的疾患や身体的疾患になってしまう場合もあります。

思い描いていたキャリアパスを変えざるを得なかったり、仕事を辞めざるを得ないような状態になったりすることもあるのです。
最悪の場合、自殺ということもあります。

パワハラは被害者に様々な影響をもたらし、被害者の人生を変えてしまうこともあるのです。
 

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パワハラが加害者にもたらす影響

パワハラの加害者への影響の説明図

パワハラが加害者にもたらす影響はどのようなものでしょうか。

パワハラを行ったことで、加害者の個人的信用が失墜します。
「パワハラをした人」、「パワハラをする人」という目で見られ、これまで築いてきた人間関係も壊れてしまいます。

懲戒処分とならない場合でも、被害者への謝罪、関係改善、不利益回復、職場環境の回復などに努めなければなりません。
会社が懲戒処分に相当すると判断すれば、就業規則に基づいて、けん責、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇などの処分を受けることになります。

民事上の責任として、不法行為責任に問われ、損害賠償責任を負うこともあります。
刑事上の責任として、暴行罪や傷害罪などに問われ、刑事罰を受ける可能性もあります。

加害者は、個人的信用だけでなく、家庭、社会的信用、社会的な地位なども失うことになるのです。
 

パワハラが企業にもたらす影響

パワハラの企業への影響の説明図

パワハラによって企業・組織に影響があります。

パワハラ行為を許すような職場では、職場環境が悪化していきます。
自分がルールというような人の独裁的な職場になったり、居心地の悪い職場になったりすることがあります。

職場環境の悪化は、その職場で働く人のモチベーションの低下にもつながります。そして、組織の活力も低下することになります。
モチベーションの低下や組織の活力の低下は、作業効率の悪化やミスの増加を招き、生産性も低下します。

パワハラ行為を許すような会社では働けないと退職者が増加し、人材の流出が起こったり、働く人の定着率が低下していったりします。

コンプライアンス上のの問題が発生します。
パワハラが発生し、企業名がマスコミに登場するようになれば、企業イメージが悪化し、経済的損失につながる場合もあります。
パワハラを原因とする精神障害などは、基準に沿って、労災に認定され、企業イメージを悪化させます。

ケースによっては、加害者だけでなく、パワハラを許した企業にも法的な責任が問われる場合があります。
裁判のための弁護士費用やそのための工数、時間を費やすことに加え、損害賠償責任が生じると賠償金が必要となります。

パワハラは被害を受けた当事者が最大の被害者ですが、パワハラを許した企業にも大きな損失をもたらすのです。

※コンプライアンスの詳細は以下の記事をご覧ください。


 

パワーハラスメントの6つのタイプ

パワハラの6つのタイプの説明図

パワーハラスメントにはどのようなタイプがあるか考えてみましょう。
パワーハラスメントのタイプは、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害、の6つです。

身体的な攻撃には、暴行や傷害があります。

精神的な攻撃には、脅迫や名誉毀損、侮辱、ひどい暴言などがあります。

人間関係からの切り離しとは、隔離や、仲間外し、無視などのことです。

過大な要求とは、業務上、明らかに不要なことや、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害のことです。

過小な要求とは、業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないことです。

個の侵害とは、私的なことに過度に立ち入ることです。

これらは、すべてのパワハラ行為を網羅しているわけではなく、典型的なものになります。
 

パワハラの背景の認識と発生の認識の重要性

パワハラの背景の認識と発生の認識の説明図

パワハラの問題は、パワハラの発生とその原因となる背景を認識できていないことにあります。
認識できていなければ、発生を防止することも、発生していてもそのことに気づかなければ対策することもできません。

このパワハラの背景と発生の認識について考えてみましょう。

職場内には、何かしらの優位性を持つ強者と弱者が存在します。
そして、強者と弱者の関係性を際立たせる環境・状況があります。
その環境・状況を、パワハラの背景といいます。

強者と弱者の関係性が際立った状態で、両者の間に何らかのコンフリクトが起きると、それをきっかけとしてパワハラが発生します。
このコンフリクトがパワハラの原因です。
強者と弱者の関係性が際立った状態は、普通では問題のない、コンフリクトと言えない些細な相違であってもパワハラを引き起こすことになります。
何が原因になるかわかります。言い換えれば、何でも原因になり得るので原因を特定して対策することはできません。
しかし、パワハラの背景については対策することができます。
ですから、パワハラの背景を認識することが必要です。

パワハラの発生の認識の重要性の説明図

パワハラは、それが指示や指導教育の範囲なのか、パワハラなのか明確に線を引くことはできません。
パワハラされたと感じたり、パワハラをしてしまったと思ったときは、そのまま放置せず、必要な処置を開始しましょう。
早めに関係者と相談したり、相手と話し合うことが、パワハラの未然防止、拡大防止につながるとともに、職場の中の信頼関係を高めることにもなります。
 

パワハラを引き起こす4つの背景と未然防止のための対策

パワハラの4つの背景の説明図

パワハラを未然に防ぐには、パワハラの背景を認識して、その対策を行います。
パワハラの主な背景には、コミュニケーション不足、強者としての認識不足、被害者意識、レッテルに絡めた評価などがあります。
それでは、それぞれの背景について見ていきましょう。

コミュニケーション不足によるパワハラの対策

コミュニケーション不足の対策の説明図

1つ目は、コミュニケーション不足を背景とする場合のパワハラの未然防止についてです。

この場合、加害者は無意識にパワハラを行っています。
無意識ですから、パワハラの発生にも気づきません。指摘されて驚くことになります。
未然防止のためにも、発生後の処置のためにも、まずは、パワハラの背景を認識することが必要です。

まず、コミュニケーションについて、ふり返りましょう。
自分が問題だと思っていることや不満だと思っていること、そこまでではないが、気持ちがモヤモヤしていることを明らかにします。
そして、具体的に、自分が、誰に対して、何に、モヤモヤしているのかを認識します。

例えば、同じプロジェクトを担当している同僚のAさんに対して、報告がないことにモヤモヤしている。
部下のBさんに対して、報告はあるが、何だか任せられないことにモヤモヤしている。
仕事を教えているCさんに対して、質問がないことにモヤモヤしている、などです。

認識ができたら、それぞれについて、対策を検討して実施します。

報告がなければ、自分から聞きにいきます。
任せられないということは心配や不安があるということなので、報告の内容や報告書の書式を見直して、自分が納得できるような報告のさせ方に変更します。

質問がなければ、逆に、その仕事のポイントを質問して、正常な作業ができるようにします。
相手任せではなく、自分が行動したり、ツールを活用したりするような対策を行いましょう。

自分のモヤモヤを解消するための対策を検討して実施します。
相手の仕事の仕方を変えるような場合は、相手と合意して取り組むようにしましょう。

強者としての認識不足によるパワハラの対策

強者の認識不足の対策の説明図

2つ目は、強者としての認識不足を背景とするパワハラの未然防止についてです。

この場合も、加害者は無意識にパワハラを行っています。
無意識ですから、パワハラの発生にも気づきません。指摘されて驚くことになります。

職場内での自分の優位性を認識するためにふり返りを行いましょう。
職位と、どれぐらいの権力を持っているのかを明らかにします。

職位があれば、自分の職位以下の人たちに対して、また、自分の権力が及ぶ範囲に対して優位性があります。

社歴や職歴も明らかにしましょう。社歴や職歴が浅い人に対して、優位性を持つことがあります。

職場内、または、仕事上、人の管理を行っているか否かを明らかにします。
管理職でなくても、正式な役職がなくても、人を管理していれば該当します。この場合、管理される側の人に対して優位性があります。

仕事の指示や指導を行っているか否かも明らかにします。
管理職でなくても、正式な役職がなくても、何かしら仕事を指示したり、仕事を教えたりしていれば、当てはまります。
この場合、指示される側や指導される側の人に対して、優位性を持つことになります。

人間関係についても見てみましょう。
同僚ではあるが、何となく自分がリーダーシップを発揮することが多い、発言力があるなど、自分が優位な立場にある関係性を見つけます。

自分が身に付けている専門知識やスキルを整理します。
そして、専門知識やスキルのレベルが職場内でどの位置にあるのかを検討します。自分より専門知識やスキルのレベルが低い人に対して、優位性を持つことになります。

このように、自分に、どのような優位性があるのかを認識します。
優位性があるということは、強者であるということです。
自分が強者であることを認識して、相手を尊重した行動するようにしましょう。

被害者意識を背景としたパワハラの対策

被害者意識を背景とした対策の説明図

3つ目は、被害者意識を背景とするパワハラの未然防止についてです。

この場合は、パワハラの加害者は確信的なことが多いものです。
被害者意識があるので、相手を良くは思っていません。むしろ、悪く思っています。
ですから、相手を意識した、確信的なものになりやすいのです。

「誰かに足を引っ張られている」「誰々にはいつも迷惑を掛けられている」というような感情を抱いていないか、自分自身でふり返ってみましょう。
誰に対して、何が理由でそう思っているのかを明確にします。

相手が、問題を多発させたり、同じミスを繰り返したり、同じ質問を何度もしたりして、その後処理やフォローが、毎回、自分に回ってきて、自分の仕事が予定通りに進まないから迷惑に思う、というように、なぜ、被害者意識を持っているのかを明らかにします。

そして、迷惑を被っていると思ってしまう理由を解消する対策を検討して実施します。

ここで視点を変えてみると、自分が後処理やフォローをするような立場である以上、問題発生防止も自分の仕事のうちなのです。

ですから、自分の管理力や改善力を高める必要があるということです。自分の仕事として対策に取り組みましょう。

レッテルを絡めた評価によるパワハラの対策

レッテルを絡めた評価の対策の説明図

4つ目は、レッテルに絡めた評価を背景とするパワハラの未然防止についてです。

この場合は、加害者は無意識にパワハラを行っています。
無意識ですから、パワハラの発生にも気づきません。指摘されて驚くことになります。

人は、最初、些細なことで、相手にレッテルを貼ります。
そして、その相手が何かマイナスなことや自分の気に障ることをする度に、最初に貼ったレッテルを基に相手を見て、「やっぱりそうだ」、「やっぱり間違いない」と、自分の中で、相手に対するイメージを確定的なものにしてしまいます。
これがレッテルに絡めた評価です。

レッテルを背景とするパワハラの未然防止のためには、まず、自分が、他人に対して常に先入観を持って見ていないかふり返ります。

主観や先入観で物事を見ている時は、なかなか、それに気づかないものです。
意識的にふり返りを行い、誰かにレッテルを貼っている可能性があれば、主観や先入観を取っ払って、一度、立ち止まって、その人をしっかり見ます。
そして、その後も意識するようにします。
 

パワハラ被害の深刻化・拡大の防止の取り組み

パワハラの被害拡大防止の説明図

最後に、パワハラ被害の深刻化・拡大の防止についてです。

パワハラ被害の深刻化・拡大の防止とは、パワハラの発生を認識して、その処置・フォローを行うことです。

パワハラは、初めは些細な出来事から次第に攻撃がエスカレートし、被害者の人権を激しく侵害する言動が、執拗なまでに繰り返し行われるといわれています。

また、課長が係長に対してパワハラを行い、それが常態的になってしまった職場では、各係長がその部下に対して、同じようなパワハラを行っていくというように、パワハラが部門内で広がっていった例があります。
放っておくと、パワハラ被害は、深刻化・拡大する傾向にあるのです。

パワハラが深刻化・拡大したら、収拾不可能な事態になってしまいます。

まず、パワハラの発生に気づく力を高めましょう。意識して、周りを見渡して、パワハラの発生を見落とさないようにします。
未然防止の取り組みは、パワハラの火種を見る目を養うことにもなります。

パワハラの早期対策の説明図

そして、パワハラに気づいたら、すぐに処置やフォローを行います。
自分がパワハラの加害者になってしまったら、、被害者に謝罪し、なぜ、そうなってしまったのかを話したりしてフォローするとともに再発防止を約束して、それに努めましょう。
パワハラ発生の処置は初期段階で行うことで、被害の深刻化・拡大を防ぐことができます。

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【この記事を書いた人:

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