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4.152018
仕事そのものも整理整頓|顧客にとっての価値基準で始める5S活動
顧客への価値提供を追求する仕事の整理整頓!その流れの整え方
職場での整理整頓では、「場所」「情報」「スキル」そして、「仕事そのもの」も対象となります。
自分たちの顧客は誰かを認識し、その顧客にとっての価値を生み出す仕事とそうでない仕事を区別します。その適切な区別の方法を確認していきます。
区別のあとは、仕事の流れを整えます。より良い流れにしていくには、仕事の見える化、プロセスの明確化、負荷のバラツキの改善などが必要です。これらの詳しい方法も解説しています。
仕事そのものなど、モノ以外のモノでも5Sの考え方にあてはめることで、組織としての活動効果を得ていくことができるのです。仕事の整理整頓を行ない、顧客に価値を提供する、価値ある仕事を遂行していきましょう。
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<目次>
- 仕事の整理整頓の対象はモノに限らない
- 仕事そのものの整理整頓も5S適用!
- 仕事の整理整頓|顧客にとっての価値を意識する
■自分たちにとっての顧客を考えよう
■顧客に価値のある仕事とそうでない仕事を区分
■顧客にとって価値のない仕事をやめる - 仕事そのものの整理整頓の仕方
■仕事そのものを見えるようにする
■仕事の流れを整える
■仕事の負荷のバラツキの改善
■継続的に改善す
仕事の整理整頓の対象はモノに限らない
「整理整頓する」を考えるとき、
まず思い浮かぶのは、書類、資材、文具、機器などの物理的なモノです。
次に考えられるモノは、電子的なファイルやメールです。
仕事上で整理整頓の対象になるのはこれらのモノだけではありません。
「場所」「情報」「スキル」そして、「仕事そのもの」も整理整頓の対象となります。
これらも、私たちの仕事を取り巻くモノなのです。
ここで、一つひとつを確認していきましょう。
【場所・空間の整理整頓】
「本当にその空間は必要なのか」
「必要なら、すぐに使えるようになっているのか」を考えます。
顧客を訪問する仕事の多い職場を例にとってみます。
基本的に半数の人しかいないとなると、全社員分の机と椅子は必要ありません。
外回りの多い人の机、そして椅子までが物置になっています。
「すぐに使えるようになっているか」もクリアできていないことが多いのです。
この場合は、社員の人数の平均+αの数の机を用意し、常時内勤の人の座席だけ決めます。
外回りの多い人は、戻ってきたときに自由に使える机を確保すればいいのです。
机の数は大幅に減らせますし、空間ももっと有効活用できます。
【情報の整理整頓】
「本当に必要な情報を持っているのか」
「必要な情報は必要な時に使えるようになっているのか」を考えます。
現在、世の中は情報で溢れています。
その中には、
正しい情報/誤った情報
使える情報/使えない情報
必要な情報/不必要な情報
が含まれています。
しっかりと取捨選択をしないと混乱を招いてしまいます。
「自分にとって今必要としている情報は何なのか」を常に意識して情報を入手することが肝心です。
情報は鮮度が命です。
明確な目的のない情報は不必要なのです。
これだけ変化の激しい世の中で、今日ある情報が、明日も役に立つとは限りません。
「この情報は何かの役に立つかもしれない」と思う情報のほとんどは役に立たないのです。
必要になったときに、新たに探したほうが有用な情報が手に入るのです。
情報は、使ってはじめて意味があります。
いろいろな情報を沢山持っているととても安心できるものです。
しかし、いざ使おうと思ったときに、情報がありすぎて見つけられないこともあります。
古い情報を大事に持っていても使うことはほとんどありません。
情報は量ではなく質で勝負するものです。
「今、必要な情報は何か」ということを常に意識し、不必要な情報は集めず、古い情報は捨てていきます。そして、必要な情報を分かりやすく保存していきましょう。
【スキルの整理整頓】
「今、必要とされているスキルは何か」
「どれだけの人がそのスキルを持っている必要があるのか」を考えます。
コンサルティングにおいて、その職場で使用するスキルの洗い出しをすることがあります。「私はこのスキルが足りないから、身に付けなければ」という言葉が必ず出てきます。
その人は、本当にそのスキルを身に付ける必要があるのでしょうか。
ある職場で使用するスキルは無数にあります。
しかし、その職場の全員がすべてのスキルを身に付ける必要はないはずです。
全員が身に付けるスキルは、毎日発生する仕事で使用するモノだけで十分です。
年に1、2回の仕事でしか使われないスキルは、2、3人が身に付けていればいいのです。
また、今後なくなると思われる仕事のためスキルも、新たに身に付ける必要はありません。
このように、スキルも時の流れに合わせて、現在もしくは将来的に必要なスキルを明確にした上で、必要数の人が身に付けていくことが重要なのです。
【仕事そのものの整理整頓】
「その仕事は価値を生み出しているのか」
「その仕事は適切に行われているのか」を考えます。
会社では日々多くの仕事が行われています。
しかし、必ずしもその全てが顧客に対して価値を生み出しているわけではありません。
たとえば、顧客の要請で作成した資料や報告書を上司が確認するという仕事。
顧客にとっての新たな価値を追加しているでしょうか。
顧客のために価値を生み出している部分は、部下の行う資料の作成です。
すでに生み出された価値(モノ)に対する上司の確認は、会社としての品質責任や問題回避のための行為であり、新たな価値は生み出していません。
このように、顧客にとっての価値を生み出していない仕事はたくさんあります。
だからと言って、その仕事は簡単にやめてしまえるものではありません。
ならば、「どうすればやめることができるのか」までを考えていきましょう。
こうして「仕事そのものの整理」し、顧客にとっての価値を生み出す仕事を、適切に行えるようにしていくことが、「仕事そのものの整頓」なのです。
仕事そのものの整理整頓も5S適用!
書類や資料、報告書が増えていくのはなぜでしょう。
文具や作業スペースが必要になるのはなぜでしょう。
それは、その書類や資料を作成する仕事があり、文具や作業スペースを使用する仕事があるからです。
その仕事をしなければ書類や資料は作成されません。
仕事をしなければ文具や作業スペースを使用することもないでしょう。
そもそも、仕事さえ行わなければ物理的なモノを整理整頓する必要はないのです。
もし、書類や資料を作成したり、文具や作業スペースを使ったりするような仕事を行うことなく、顧客が満足するような製品やサービスを提供することができれば、究極の状態といえるでしょう。
しかし、それは夢物語です。
ただ、その夢物語の一部でも実現できないかと取り組むことは意味のあることです。
実現させることができれば大きな成果を手にすることができます。
人が月に行くことも、昔は夢物語でした。
しかし、現代では夢ではなく現実の話題になっています。
夢はそれに向かって取り組み続ければいつか現実になるのです。
物理的な5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を仕事そのものに当てはめて取り組んでくのです。
仕事そのものの整理整頓は、そんな夢を現実にするための一つの考え方です。
仕事の整理整頓|顧客にとっての価値を意識する
『価値のある仕事』と『価値のない仕事』を区分して『価値のない仕事』をやめること。
これが、仕事そのものの整理です。
では、その価値とは、誰にとっての価値でしょうか。
自分たちの顧客にとっての価値です。
【仕事そのものの整理】
「顧客にとって価値のある仕事と価値のない仕事を区分して、価値のない仕事をやめること」です。
自分達に必要か、必要ではないかで判断するのではなく、顧客にとっての価値で仕事を区分して、価値のない仕事をやめます。
自分たちにとっての顧客を考えよう
自分たちの顧客とは具体的に誰のことを指すのでしょう。
会社にとっての顧客は、製品やサービスを購入してくれる人たちです。
では、この人たちだけを意識すれば良いのでしょうか。
営業や接客の担当なら「購入してくれる人」の存在を感覚的に理解できます。
しかし、実際に物を作る製造の担当者、経理や人事などの間接業務の担当者は、製品やサービスを購入してくれる人たちといってもピンとこないものです。
顧客とは、最終的に製品やサービスを購入し、利用してくれる人たちももちろん含みます。
しかし、自分たちの部門からその人たちに到達するまでに関わるすべての人のことでもあるのです。
たとえば、製造部門の人たちにとっては、製造した製品を保管してくれる人たちも顧客です。
保管している物を販売店に運ぶ人たち、販売する人たちも顧客なのです。
経理、総務、人事などの人たちにとっては、会社で働く人たちすべてが顧客になります。
顧客にとって価値の有無を判断するとき、最終的な利用者を意識するのは当然のこと。
そこに至るまでに存在する人たちのことも、顧客と捉えた価値判断が必要です。
自分たちのとっての顧客とは誰か、その顧客は何を求めているのかを常に考えて仕事を進めましょう。
顧客に価値のある仕事とそうでない仕事を区分
『顧客にとって価値のある仕事』と『顧客にとって価値のない仕事』
皆さんの仕事の中で『価値のない仕事』と思うものを挙げてみてください。
この質問をすると、「自分たちが行っている仕事に価値のないモノなどない」
という答えが返ってくることがあります。
何か必要性があって行なっているのですから、価値のない仕事をしている人はほとんどいません。
では、顧客にとっての価値と考えた場合、どれだけの仕事が該当するでしょうか。
たとえば、上司や経営層への報告。
予定通り進んでいるという報告は、安心を得るだけで顧客には何の価値も生んでいません。
報告によって問題を発見し、手配や指示を行うことで解決を図ります。
これは一見、顧客とっての問題を解決しているように思えます。
実際は、部下が失敗したマイナスの価値の埋め合わせに過ぎません。
また、認識合わせのための資料作成や、製品の検査やテストも新たな価値は生みません。
顧客にとっては、
「はじめに伝えたことを間違いなく聞き取り、問題のない製品を一発で作ってくれる」
これが理想かもしれません。
しかし、現実にはそういうわけにはいかないのです。
話されたことを100%覚えておくことは不可能です。
過去の経験や人生観の異なる話し手と聞き手が、まったく同じ認識をすることもありません。
人の行うことに100%はありません。
ですから、確認や検査・テストなどが必要なのです。
一人ですべてをこなせるスーパーマンは稀にしかいません。
だからこそ、何人かで力を合わせて仕事を進めます。
力を合わせるための打合せや資料も必要になるでしょう。
これは、『顧客にとって価値のない仕事』かもしれません。
しかし、『組織にとっては必要な仕事(価値のある仕事)』なのです。
このことを忘れてはいけません。
『顧客にとって価値のない仕事』=『やらなくてよい仕事』ではないということです。
これを肝に銘じて『顧客にとって価値のある仕事』と『顧客にとって価値のない仕事』
を区分していくことが大切です。
「本当に顧客にとっての価値とは何か」
これを考え続けることこそが「仕事そのものの整理」で求められるのです。
さらに、もう少し突っ込んだ意識も必要です。
顧客が求めるモノをそのまま出せばいいわけではありません。
考えるべきは、『顧客にとって価値のあるモノ』、または『顧客にとって必要なモノ』です。
顧客自身、自分にとって価値あるモノを認識していないこともあります。
顧客が求めていなくても顧客にとって必要なモノもあるのです。
つまり、顧客が求めるモノが『顧客にとって価値のあるモノ』や『顧客にとって必要なモノ』と一致しているとは限らないということです。
このことを、常に意識することが大切です。
顧客にとって価値のない仕事をやめる
『顧客にとって価値のない仕事』をやめるということは、とても難しいことです。
なぜなら、それが『組織にとっては必要な仕事』だからです。
組織にも不要な仕事であれば、やめるのは簡単ですし、そもそも行っていないでしょう。
必要性があって行っている仕事をやめるのです。
「価値がないので明日からやめます」では通りません。
『顧客にとって価値のない仕事』をやめるには、その仕事をやめても、顧客に提供する価値を落とさないことが前提となります。
そのため、やめるための、それなりの工夫が必要になるのです。
上司への報告会議をやめるためには、仕事の進行上で発生する異常を検出できる仕組みが必要になります。
意識合わせの打合せをやめるためには、常に最新の情報を共有できる仕組みが必要です。
検査や試験をやめるためには、作り込む段階でミスや誤りが入り込まないような仕組みが必要になります。
ある会社では、プロジェクトの進捗確認の定例会議をやめるために、作業項目をすべてカードに書き出し、壁に貼り出していました。
壁には日付が書かれてあり、作業項目を書いたカードを作業予定日に貼っていくのです。
作業担当者は、作業を実施したら該当カードを壁から剥がします。
これにより作業が順調に進んでいるか/遅れているかが誰の目にも、一目瞭然となったのです。
そして、定例会議はなくなり、遅れなどの異常が発生したときだけ対策会議を行なうようになりました。
このような工夫をしてはじめて『顧客にとって価値のない仕事』をやめることができます。
それは、一朝一夕にできるものではありません。
考える→やってみる→失敗する→また良い方法を考える→再度やってみる
試行錯誤を繰り返してはじめて成し得るものです。
簡単にやめられないモノをやめるための方法を考え抜く。
これは、新しいものにチャレンジする精神を育みます。
また、新たな発想を生み出せるようにもなります。
これこそが、「仕事そのものの整理」を行う狙いなのです。
仕事そのものの整理整頓の仕方
顧客にとっての価値を基準に整理をした上で、「仕事そのものの整頓」に取り組みます。
【仕事そのものの整頓】
「顧客にとって価値のある仕事をいつも適切に行うこと」です。
仕事のバラツキを抑え、仕事の流れを整えることによっていつも一定の品質で、的確に行ないます。
この仕事そのものの整頓のために、見えない仕事も見える形にすることから始めます。
その方法をここで確認していきましょう。
仕事の流れを整えるための、アウトプットやそのプロセスの明確化、監視、負荷のばらつきのならし方についてご説明していきます。各フェーズを行なう狙いも逃さないように活動していきましょう。
仕事そのものを見えるようにする
皆さんは、現在、職場にどのような仕事や作業が、どれくらいあるか分かりますか。
その中で、今日中に終らせなければならない仕事がどれか分かりますか。
製造現場で働く人たちの多くは、現在、職場にどれくらいの仕事があり、今日行わなければならないものがどれだけかをいつも把握しています。
しかし、企画、研究、開発部門や管理部門で働く人たちのほとんどは、それらを把握していません。
この違いは、直接目に見えるモノを扱っている仕事か、直接目で見れないモノを扱っている仕事かによるものです。
見えないモノは管理や改善ができないのです。
仕事が見えない限り「仕事そのものの整理」「仕事そのものの整頓」もうまくいきません。
仕事そのものを整理整頓するためには、仕事そのものを見えるようにする必要があります。
仕事そのものを見えるようにして、常に仕事が適切に行われていることを、誰もが把握できるようにするのが「仕事そのものの清潔」です。
直接目で見ることのできないモノを扱う企画、研究、開発部門や管理部門の仕事を見えるようにするためには、そこで行っている仕事を目に見える形に表す必要があります。
業務を見える化する方法
仕事を目に見える形に表す、もっとも簡単な方法は紙に書き出すことです。
簡単な方法なのですが、書き出すことは意外と難しいです。
【仕事を区切る】
紙に書き出すためには仕事を区切らなければなりません。
区切った仕事には名前が必要になります。
名前など意識せずにやっている仕事は意外に多いはずです。
あまり区切りが大きすぎると、見えていないときと状況が変わりません。
おおよそ2~4時間の大きさで仕事を区切ります。
全部の仕事を書き出すのではなく、その日の予定の仕事から始めましょう。
仕事を区切るときは、付箋などを使用すると管理にも使えて便利です。
【個々の目的を考える】
区切りが終わったら、それぞれの仕事の目的を考えます。
仕事には必ず目的があるはずです。
しかし、それぞれの仕事の目的を確認していくと、何のために行われているのかが分からないものが出てきます。
なぜやっている?何のためにしていること?を思い返してみると、
「上司から実施するように言われたから」
「前任者から教えられたから」
という軌道からずれた意味のない理由に気付くことができるでしょう。
目的のない仕事は明らかにムダです。
目的の分からない仕事は、まず目的を確認する必要があります。
確認してみても目的が分からない場合は、やめてしまいましょう。
環境や状況の変化で、もう必要なくなっているのに、単なる慣習で行い続けてしまっている仕事は意外に多いものです。
ある会社での、月次の部長会議。
毎月、3cmほどもある分厚い報告資料が提示されていました。
それほどの資料を、一体誰が、いつ読めるでしょう。
参加者に確認してみると、9割近くの人は目を通していませんでした。
では、なぜ読まれない大量の資料が、作成され続けてきたのでしょう。
答えは単純でした。
以前、トラブルが発生した。
その対策のための詳細資料を会議に提出した。
トラブルは解決した。
資料だけが作り続けられた。
その企業には、そのような経緯で作成されている資料がたくさんあったのです。
このように、仕事の目的を確認し直すだけで、ムダな仕事が見えてくるのです。
作業内容とアウトプットを明確にする
次に、作業内容とアウトプットを考えます。
「この仕事で何を行うのか」
「その結果として何をアウトプットとするのか」を考えます。
作業内容は、仕事を区切る際におおむね考えていると思います。
では、そのアウトプットとは、どのようなものかを考えてみましょう。
アウトプットは○○報告書や○○設計書あるいは物理的なモノの場合もあります。
しかし、有形のモノばかりではないでしょう。
たとえば、「○○を商品化するためのアイデア」のようなモノもあります。
この場合、考える範囲も明確にしてアウトプットとします。
思考を伴う仕事の場合、時間があればいくらでも考え続けられます。
そして、その思考にはキリがありません。
ですから、投入時間でアウトプットを制限することもあります。
「2時間で考えられる範囲の○○を商品化するためのアイデア」とするのです。
アウトプットを明確にする際に、どうしても決めることができない場合は、仕事の区切り方に無理があるのかもしれません。
そのようなときには、もう一度仕事の区切りを見直してみましょう。
このように、仕事を目に見えるように書き出し、それを、職場全体で共有します。
これによって「仕事そのものの整理」「仕事そのものの整頓」を効果的に進められるようになるのです。
仕事の流れを整える
仕事には必ず流れがあります。
どこかで仕事が発生する
誰かが処理をする
その結果を受けてまた誰かが処理をする
これを繰り返して、最後にその結果を必要とする人に届けます。
仕事では、発生してから完了までを一人で行うことは稀です。
ほとんどの場合は、何人かの人を経て仕事が行われます。
仕事は、その流れのいたるところで留まります。
ある一人が仕事をしている途中、急な仕事の割り込みがあれば留まります。
ある人の作業が終り、次の人に渡すとき、渡される人は目下の仕事を留めるでしょう。
ある作業が終り、次の作業を始めようとしたとき、別の人の作業の結果が必要というときも同じです。このように仕事を留める要因には事欠きません。
このような仕事を留める要因をなくし、仕事の流れを整えることも「仕事そのものの整頓」です。
仕事のプロセスを明確にする
仕事の流れを整えるためには、仕事のプロセスを明確にします。
どのような作業がどのような順番で行われているのかを確認するのです。
作業者にヒアリングをしてまとめるという方法もあります。
しかし、時間がかかる上に、記憶に頼るために抜けが発生する可能性がでてきます。
そこで、各担当者に行う作業の内容を紙に書き留めていってもらうのです。
その紙を集めて順番に並べていけば、その仕事の基本的なプロセスは把握できます。
プロセスのモニタリング
次に、どのようなときに留まるのかを監視します。
留まりを発見したら、その原因を確認し、回避する方法はないかを考えるのです。
作業の順番、進め方に問題はないか
作業自体の切り分け方に問題はないか
作業者のスキルに問題はないか
こういったことを一つ一つ潰していき仕事の流れを整えます。
仕事の流れを整えることで、個々の仕事の所要時間、完了予定期間が見通せるようになります。
これによって、職場の仕事を全体的に管理することができるようになるのです。
仕事の負荷のバラツキの改善
仕事そのものを整頓するために、日ごとの繁閑の差、人単位の負荷の差はならす必要があります。
どうやってならすことができるのか、その方法を考えていきましょう。
日単位の負荷のバラツキをなくす
皆さんの仕事には、忙しい日と暇な日のような負荷のバラツキはありませんか。
仕事は顧客の要求によって発生します。
本来であれば、仕事の発生が毎日一定ということはありません。
期間が長い仕事の場合、計画的に負荷のバランスを取ることはできます。
期間の短い仕事は、簡単にバランスを取ることはできません。
仕事の日ごとの負荷のバラツキをならし、安定して仕事を行えるようにすることが「仕事そのものの整頓」です。
職場では、仕事の負荷にバラツキがあっても、その負荷に合わせて人を増減することはできません。
まして、高い負荷のときに合わせた人員確保はムダが多くなるために行われません。
通常は、平均的な負荷に合わせて人員が用意されるため、仕事の発生が多い時期は過負荷、少ないときは能力過多になります。
このような状態を解決するためには、どのようにすれば良いのでしょう。
【日単位の負荷のバラツキをならす方法】
もっとも簡単な方法は、現在の仕事の繁閑周期と逆の周期の仕事を見つけ、その仕事を行う職場と一緒に仕事を行うようにすることです。
完全に職場を合併させることもありますし、お互いの応受援体制を構築することもあります。
この方法でうまくいった会社もあります。
しかし、多くの場合、都合良く逆周期の仕事を見つけることはできません。
そのため、自分の職場の中で解決する方法を考えます。
職場の中にはいろいろな種類の仕事があります。
その中には、「顧客の要求によって直接発生する仕事」「それに付帯して発生する仕事」があります。
この付帯して発生する仕事について、要求によって直接発生した仕事と分けて行うことができないかを吟味します。
分けることができた場合、負荷の高い日には付帯作業は行わず、前後の日にずらすようにします。
こうして、負荷をならすことができるのです。
完全にバランスを取ることは難しいかもしれませんが、繁閑の差は狭くなるはずです。
人単位の負荷のバラツキをなくす
皆さんの職場では、担当者を決めて仕事を割り振っていませんか。
その場合、日ごとで見たとき、忙しい人と暇な人が発生しませんか。
割り振られた仕事によって、月初・月末が忙しい人、毎週末が忙しい人、不規則に忙しい人、定常的に忙しい人などです。
その負荷の調整を考えるのは管理者の責務。
自分たちは割り振られた仕事を淡々とこなせばよい。
このような発想ではいつまで経っても忙しい状況は解決されません。
忙しい人は、その担当業務において高いスキルを持っていることが多いです。
同様の仕事が発生すれば、どんどんその人のところに仕事が集まります。
その結果、その人はさらに忙しくなり、過負荷な状態が続くようになります。
そして、あるとき、パンクして倒れてしまうのです。
そうなってしまうと大変なことになります。
何より、もっとも仕事のできる人が倒れたのですから、他の人ではカバーの手が追い付きません。
それでも無理してカバーしようとした人も、倒れてしまうという悪循環にはまってしまいます。
この悪循環を避けるためにも、人による負荷のバラツキをならし、安定して仕事を行えるようにすることも「仕事そのものの整頓」です。
【人単位の負荷のバラツキをなくす方法】
人による負荷のバラツキをならす方法を考えていきましょう。
すべての人がお互いの仕事のスキルを身に付けるという答えも出てくるかもしれません。
しかし、スキルを身に付けることは簡単なことではありません。
また、スキル数は多く時間がかかるため挫折してしまうでしょう。
そもそも、職場の全員が同じレベルになろうとすることが無理なのです。
高いスキルを持つ人たちは、そのレベルに達するまでに何年も経験を積み上げているのです。それを、簡単に習得できるのであれば誰も苦労はしないでしょう。
すべてのスキルを同じレベルに引き上げるのではなく、負荷のバラツキを抑える効果の高い仕事だけを共有するようにすることがポイントです。
バラツキを抑える効果の高い仕事とは、
負荷の高い人が行なっている仕事
もしくは、負荷が高くなるときに定常的に発生する仕事
これらの中で、
あまり高いスキルを必要としない仕事
もしくは、他の人の仕事と類似性の高い仕事
定常的に発生している仕事であれば、常に支援することができます。
高いスキルを必要としない仕事であれば、習得にも時間がかからず早く始められます。
こうすることで、人による負荷のバランスを取っていきます。
高い専門性や経験を必要とする仕事は、今までの担当者が行いますが、それほどでもない仕事はお互いが助け合っていけるようになるのです。
人による負荷のバラツキを取るために、お互いの仕事を理解しあい、助け合うことによって協働する環境を築き上げていくことが「仕事そのものの整頓」の狙いです。
継続的に改善する
「仕事そのものの整理整頓」を行っていくためには、数多くの改善を実施します。
その改善は、一時的ではなく、継続的に行います。
『顧客にとって価値のある仕事』と『顧客にとって価値のない仕事』を区分し、
『顧客にとって価値のない仕事』をやめ、
『顧客にとって価値のある仕事』を適切に行えるように、
継続的に改善をすることが「仕事そのものの清掃」です。
顧客の価値観は、時間と共にどんどん変化して行きます。
昨日まで価値のあったモノが、突然価値のないモノになることなど日常茶飯事です。
今までになかったようなモノが現れ、価値を生み出すようになることもあります。
その変化に合わせ自分たちの仕事を整理していかなければ『顧客にとって価値のない仕事』に忙殺されてしまうのです。
仕事の負荷も顧客や市場の変化によって変わっていきます。
そこで働いている人自体も変わっていきます。
その変化を読み取り、仕事の整頓をしなければ、仕事を適切に遂行することはできません。
「仕事そのものの整理」と「仕事そのものの整頓」は、
継続した改善を行わなければすぐに崩れていってしまいます。
常に変化を捉えて、
その変化がどのような影響を与えるのかを見定め、
どのような対応が必要かを考え、
現行の取り組みを変えていきます。
その変更が有効かどうかを確認し、有効であれば展開します。
無効であれば有効にするには何をしなければならないかを考え、実施していくのです。
このような改善のサイクルをただひたすら回し続けます。
継続的な改善とは、昨日よりも今日、今日よりも明日をより良くしていくことです。
同じ状態を維持することは改善ではありません。
常に、より高みを目指して変えていくことがもっとも重要なことです。
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