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7.92017
「働き方改革」で解決すべき課題と取り組み目的は何?~解決の仕方とツール
何に向かって「働き方改革」をするのか~その疑問を解決!
働き方改革では、多様な就業環境(時短やフレックス、在宅勤務)に対応した様々な社内制度や仕組みが必要となります。一方で、これら多様な就業環境が、働く者の孤立化を招くことも危惧されています。
働く者の孤立化は、残業の「見えない化」を招き、仕事の個人化を加速してチーム力を低下させかねません。
働き方改革を成功させるためには、多様な就業環境において、安心して働ける環境と制度の構築とともに、仕事の属人化、孤立化を打破して、一人ひとりの負担を軽減し、チーム力を高め、残業ないチームづくりが不可欠です。
ここでは、働き方を取り巻く環境からの問題と取り組み課題、課題解決のための仕方と改善ツール・事例を紹介します。
<目次>
働き方を取り巻く環境と問題点
働き方改革の取り組みの目的
多様な就業環境でも個人を孤立させずチーム力を高めるしかけ
仕事の5S(整理・整頓)改善で仕事量を減らすしかけ
仕事の見える化改善でチーム生産性を高めるしかけ
働き方を取り巻く環境と問題点
働き方改革は、労働力人口が継続的に減少する中、女性や高齢者の社会進出を容易にするための多様な就業環境と働き方を用意する取り組みです。また、様々な就労条件のニーズをもった労働者を活用するための労働条件の整備をすることでもあります。
就業規則と労働時間の問題と課題
多様な就業環境や条件に対応するためには、柔軟な就業形態を用意し、運用ルールを明確にしなければなりません。働き方改革では、働く場所、時間が様々な形態・条件となり、異なる就業形態であっても公平・公正な就業条件、規則となるようにしなければなりません。
その時、もっとも懸案となる事が労働時間の問題です。
フレックス勤務、在宅勤務は、働いている状態が管理者の目に届きません。特に在宅勤務では、何時から何時まで働いているか、また、休憩はどのくらいとっているのか、把握できない状態となり、実労働時間が組織として管理しにくくなります。
実際、在宅勤務では、働いている合間に、家事や家族の用事などに時間を費やすことが少なくありません。働いている時間の中に、個人的用事の時間が飛び込んでくると、自分でも正味の労働時間がわからなくなったりします。
働き方改革では、労働時間の管理、記録のための仕組みづくりが重要なテーマとなります。
裁量労働制という選択もありますが、法律上、適用できる業種が制約されていたり、労使間の合意が必要となったりするため、導入においては専門家の支援が不可欠です。また、裁量労働制によって労働時間の管理から解放されるわけではありません。裁量労働制であってもみなし労働時間と実労働時間の差異の監視と管理が求められます。
作業管理の問題と課題
労働時間とともに問題となるのが、作業内容と成果物の管理です。日常的に管理者の目が届きにくいことから、仕事の中身として、適切な作業の選択と実施がされ、品質の確かな成果物を生み出しているか、遠隔地、非対面でもわかるようにしなければなりません。
実労働時間の管理が難しい上に、作業管理も十分にできなくなると、どうしても仕事の成果で就業状況を管理しようとしてしまいます。
結果のみで働き手を評価することになるのです。結果だけによる管理は、社員の生産性やムダが見えないばかりか、不正なども見えなくなります。また、結果を追求するあまり、社員を追い込み、見えないところで残業を強いることにもなりかねません。
結果だけでなく、働いてるプロセスを管理することが大切です。
孤立化と仕事の個人管理化・属人化の問題と課題
時短勤務、フレックス勤務によって時間帯的孤立となり、在宅勤務によって物理的孤立となることで、周りに相談相手、協力者がいない中で自己解決が強く求められて仕事の個人管理化に拍車がかかります。
個人の孤立・仕事の個人管理化は、個人能力が仕事の品質や生産性に直結し、問題も個人で解決しなければならず、人による仕事力の格差が広げる可能性があります。
製品やサービスに対する要求の多種多様化(ロングテール化)が一つひとつの仕事を小粒化させ、チームとして取り組むだけのボリュームがなくなり、一人仕事が増加し、仕事の個人管理化が進む環境にあります。
また、コミュニケーション手段がメール主体となり、1to1コミュニケーションが進み、個人での情報管理が中心となって、そのことが仕事の属人化に拍車をかけます。
就業規則と労働時間の問題は、労務の専門家の領域なので、
ここでは、孤立化と仕事の個人管理化、作業のチーム管理の課題にスポットをあてて、成功のための取り組みの仕方をご紹介します。
関連記事⇒働き方改革に向けて取り組むこと~見える化が役に立つ
働き方改革の取り組みの目的
働き方改革によって、人による仕事力の格差が広がるリスクが高まり、以下のような理由から残業の増加、チーム力の低下が進む可能性があります。
①仕事の小粒化によって、同じ作業の回数増加して、仕事の段取りや手配、確認などの仕事の手間を増加させます。
②個人の孤立化・仕事の個人管理化がOJTや協業機会の減少を招き、若手が育ちにくく生産性が高まりにくい仕事環境となります。
③個人の孤立化・仕事の個人管理化によって技術やノウハウ伝承機会が減少し、組織として業務遂行力が低下し続けるようになります。
④個人の孤立化・仕事の個人管理化ができる人への負荷の集中を招き長時間残業が常態化します。
⑤チームとしての協業、平準化が進まないことによるチーム生産性の低下
働き方改革の目的は、残業の増加とチーム力の低下を防ぎ、多様な働き方であっても高い生産性を維持する働き方を実現することにあります。
では、そのために何に取り組めば良いか。
ここでは、以下の3つの取り組みと事例を紹介します。
・仕事の個人管理化進む中で個人を孤立化をさせずチーム力を高める取り組み
・仕事の5S(整理・整頓)改善を通じて仕事量そのものを減らす取り組み
・業務の見える化によって協業と平準化によるチーム生産性を高める取り組み
関連記事⇒働き方改革:長時間残業をなくす取り組み方・ツールと事例
多様な就業環境でも個人を孤立させずチーム力を高めるしかけ
多様な就業環境と働き方の中でもチーム力を維持し高めるためのしかけです。
①仕事の目的の見える化
チーム活動の原点は、目的と共有です。同じ目的に向かうことで、チームは仕事の協業性を高めるようになります。
②チャット型コミュニケーション
コミュニケーションは、単に情報を伝えることだけではありません。異なる見方か考え方で意見を交わすことが、新たな気づき、抜け落ちの気づき、ひらめきを誘発します。これらはレスポンスよく意見が行き来しなければ発揮されので、チャット型のコミュニケーションが有効です。
③FAQコミュニケーション
チーム力に不可欠なのが助け合いです。身近に相談できる人がいない環境で助け合うために有効なのは、FAQです。
FAQは、各自の知恵・ノウハウの形式知化がはかられます。知的財産が蓄積されていくメリットもあります。
④ペア作業で伝承
ベテランの知恵やノウハウの伝承は、やはり直接教えを請うことが一番有効です。限られた時間の中で伝承するには、ペア作業が有効です。
ベテランが指示と確認役で、教えられる側が作業を行うことで、ベテランは教えるポイントが明確になり、教えられる側は自分とベテランとの違いが明確になって習得効率が高まります。
⑤アクティブラーニング型のチーム教育
チーム力は、多様な能力の組み合わせによって発揮します。チーム教育は、知識や情報は、eラーニングなどの個人学習で学び、人が集ったときは、各自の見方・考え方の違いの確認と差異の解決、チームとして実践するための進め方や事例研究を行い、教育効率を高めます。
関連記事⇒プロジェクト管理:要員管理とは~能力と配置計画の進め方とツール・事例~
仕事の5S(整理・整頓)改善で仕事量を減らすしかけ
生産性を高め残業を減らすために、ムダな作業をなくし仕事量そのものを減らすしかけです。
仕事の整理改善
顧客視点で仕事の価値を評価し、価値の低い仕事=ムダをやめる改善です。
仕事を棚卸しして価値の無い仕事を明確にやめる改善を行います。
例えば、コミュニケーションは、顧客に提供する価値をつくっていません。コミュニケーション回数を減らす改善をします。
さらに、価値の無い仕事を見分ける着眼点は、異常です。
過剰、待つ、伝達、再発、慣習、抱え込み、見込みなどの視点で見てみましょう。
詳細はこちら⇒5S活動:仕事の5Sとは~残業を減らす仕事の整理改善の取り組み方
仕事の整頓改善
仕事の偏りと滞りを無くしてムリ・ムラを無くす改善です。
仕事の偏りには、負荷の偏りと能力の偏りがあります。
負荷の偏りは、人別、日別、プロセス別に層別して見える化して改善します。
能力は、人別またはプロセス別に分解することで明らかになります。
滞りは、仕事の流れが停滞していることで、プロセスにおける仕事の中断・保留のことです。
改善方法としては、
・仕事の統合によって重複を減らす
・仕事の連結で段取り回数を減らす
・仕事の一個流し(シングルタスク)でスイッチングロスをなくす
・仕事の一列待ちで特急ロスをなくす
というものがあります。
詳細はこちら⇒5S活動:仕事の整頓改善とは~仕事のムリ・ムラをなくす整頓改善の取り組み方・事例
仕事の見える化改善でチーム生産性を高めるしかけ
トヨタ生産方式のかんばん方式のタスク管理によって、チームとして共有し管理しなければならない仕事をタスクカードで見える化し、管理することでチーム生産性を高めるしかけです。
かんばん方式のタスク管理では、次のような改善を行います。
・WBS(Work Breakdown Structure)による計画の見える化で計画モレのロスを減らす
・見える化で安心して忘れる管理で頭の中の情報を整理する=記憶する情報を減らす
・異常の見える化でトラブルを未然防止して品質ロスを減らす
・進行基準から完成基準による進捗の見える化で納期遅延ロスを減らす
・日別時間別の能力と負荷の見える化で期間内平準化ロスを減らす
・人別の能力と負荷の見える化で人別平準化ロスを減らす
・チーム優先度の見える化で不要不急残業を減らす
・残業枠の見える化でチーム協業を引き出し平準化ロスを減らす
詳細はこちら⇒仕事の見える化:かんばん方式のタスク管理とは~テキストとツール・事例について
関連記事⇒仕事の見える化:かんばん方式のタスク管理の運用事例~職場はどうなる?
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