Blog
8.152018
QC7つ道具の使い方:対策立案から改善・分析に役立つQC手法のテキスト、作成事例
グラフ・パレート図・ヒストグラム・管理図の作成方法と使い方
QC7つ道具には、チェックシート、特性要因図、散布図、グラフ、パレート図、ヒストグラム、管理図があります。後者は問題解決・改善活動の対策立案から実践・分析に役立つツールとして使われます。対策立案、実施と対策・改善結果の評価分析における各ツールの特徴と使う目的、作成方法、使い方のポイントを事例を交えて紹介します。
<目次>
4.グラフとは~つくり方
5.パレート図とは~つくり方
6.ヒストグラムとは~つくり方
7.管理図とは~つくり方・見方
QCの対策の基本とポイント
4.グラフとは
量の大きさ、割合の比較、時系列的変化、項目間のバランスを見るもので、目で見て分かりやすい、簡単に作成できる、要点が理解されやすいツールです。
種類として、折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、帯グラフ、レーダーチャートの5つがあります。
折れ線グラフは、時間的変化など数値の変化を見るもので、特に、横軸に時間をとったものは、時系列グラフ、管理グラフとも呼ばれます。
棒グラフは、数量の大小を比較する もので、棒の長さの長短により数値の大小が比較できます。
円グラフは、データの内訳・構成割合を見るもので、全体と項目、項目同士の割合が比較しやすくなります。
帯グラフは、データの内訳と2つ並べることで比較できるものです。
レーダーチャートは、項目別の評価を比較する もので、季節性、全体の偏り、平均と各項目の関係などを示したい場合などに用います。
折れ線グラフのつくり方
①項目を決め、データを取る
データを表にまとめます。
例えば、1月から6月までの売上と利益をデータ表にします。
②縦軸を作成する
縦軸にデータの指標を入れます。
最小値~最大値までが入るように目盛り線を等間隔で入れます。
基点は0にしなくても構いません。
縦軸の説明と単位を入れます。
③横軸を作成する
横軸に項目を記入します。
必要に応じて目盛り線を等間隔で入れ、横軸の説明と単位を入れます。
④データを打点し、線で結ぶ
縦軸・横軸の交点に打点し、線で結びます。
複数のデータを記入する場合は、点や線の種類・色を変えます。
⑤関連事項を記入する
作成した目的、作成日、場所、作成者などを記入します。
棒グラフのつくり方
①項目を決め、データを取る
データを表にまとめます。
例えば、1月から6月までの売上と利益をデータ表にします。
②縦軸を作成する
縦軸に特性値を入れます。
基点を0にし、途中も省略しないようにします。
基点を0にしない場合や途中を省略した場合は、実際のデータ以上にデータ間の差が大きいと思わせてしまい、間違った理解をさせる恐れがあります。
最大値までが入るように目盛り線を等間隔で入れます。
縦軸の説明と単位を入れます。
③横軸を作成する
横軸に項目を記入します。
目盛り線を等間隔でいれ、横軸の説明と単位を入れます。
④データを棒の長さで表す
縦軸の目盛に合わせてデータを棒の長さで図示します。
複数のデータを記入する場合は色を変えます。
⑤関連事項を記入する
作成した目的、作成日、場所、作成者などを記入します。
円グラフ/帯グラフのつくり方
①項目を決め、データを取る
例えば、1月から6月までの売上と割合をデータ表にします。
②データを集計する
データを大きい順に並び替え、割合を計算します。
③円グラフ/帯グラフを選択する
単純に割合を見る場合は円グラフにします。
割合の変化を見たり、比較をしたい場合は帯グラフにします。
④データをグラフにする
項目は比率の大きい順に、その他の項目は、比率が大きくても最後に書きます。
項目名と比率を入れます。
帯グラフは同じ項目を補助線で結びます。
⑤関連事項を記入する
作成した目的、作成日、場所、作成者などを記入します。
レーダーチャートのつくり方
①項目を決め、データを取る
データを表にまとめます。
例えば、AからCの店舗診断を、清潔感、接客態度、味、価格、外観・内装の5つの視点から、5点満点で評価します。
②枠を作成する
項目数に応じて、五角形・六角形などの形をつくります。
項目による分割は均等にします。
③項目/尺度/区分を入れる
項目は真上より右回りに記入し、目盛り尺度も記入します。
データ区分を線の種類・色などで記入します。
④データをグラフにする
データを打点し、線で結びます。
⑤関連事項を記入する
作成した目的、作成日、場所、作成者などを記入します。
5.パレート図とは
重要視しなければならない現象や原因を明確にするものです。
パレート図は、パレートの法則を唱えた経済学者のパレート氏に因んで名前がつけられたものです。
パレートの法則とは、20%の労力をかけたものが80%の成果を生むというもので、経験から導き出された考え方です。
パレート図は、労力と成果、投入と結果といったパレートの法則に則った関係性を見えるようにし、何に労力を集中させるべきか明確にするツールです。
使い方としては、問題解決における重点志向があります。
重点的に取り組む問題をピックアップし、ターゲットを1点に絞り、最小限の努力で大きな成果をめざします。
問題解決における効果確認です。
改善前後のパレート図を並べて比較することで、効果を確認します。
重要事項の説明資料です。
割合と量を1つのグラフで説明することができます。
パレート図のつくり方
①データ表を作成する
データを集め、多い順に並び替え、累計数、累積比率を求めます。
例えば、10種類の製品の生産数をデータ表にし、多い順に並び替えます。
②棒グラフをつくる
累計数を最大値として正方形の枠を書きます。
縦軸に量や金額、横軸に項目を入れます。
縦軸の最大値は、量の合計数を記入します。
左端から多い順に隙間を空けずに詰めて記入します。
③折れ線グラフをつくる
左軸の最大値を右に平行移動し交点を100%とし、累計比率を折れ線グラフで記入します。
④関連事項を記入する
作成した目的、作成日、場所、作成者などを記入します。
6.ヒストグラムとは
データのばらつきの状況を把握するもので、測定値の存在する範囲をいくつかの区間に分け、その区間に属するデータを度数として棒グラフに表した図です。
規格に対する収まり具合、データのバラツキの広がり・偏り・中心、異常データなどから工程の中に潜む異常や問題点を見つけるツールです。
ヒストグラムの見方は、まず分布の中心位置がどこにあるのか見ます。
ねらい値に対して、実際のデータの平均値や中央値の偏りやズレを見ることで、作業や設備の設定やねらいが合っているかを評価します。
次に、バラツキの幅を見ます。
データのばらついている範囲の広さを見ることで、作業や設備の異常によって、作業結果や生産物が不安定になっていないかを評価します。
次は、バラツキの形です。
正規分布(一般)型は正規分布曲線に沿って、きれいにばらついている状態にあるものです。
工程が適正に管理されている場合に表れる形です。
離れ小島型は、正常な状態から大きく外れる異常が発生した製品などのデータが含まれている場合などに見られるものです。
工程で、作業や設備の条件が大きく変わるような出来事が起きている可能性があります。
ふた山型は、作業者や設備、生産時期が異なる2つの製品が混ざっているような場合に見られるものです。
製品の混入などが発生している可能性があります。
高原型は、作業者や設備、生産時期が異なる複数の製品が混ざっている場合に見られるものです。
データの取り方、製品の識別管理方法を見直して、作業者別、設備別、生産時期別にデータが取れるようにする必要があります。
裾引き型は、作業や設備の条件において、上限か下限が設定され、それを超えた製品がつくられないような仕組みがある場合などに見られるものです。
絶壁型は、不良品の選別などをした場合に見られるものです。
最後に、規格値との比較です。
良好型は、バラツキが規格内に余裕をもって収まっており平均値も規格の中心と一致しているものです。適切な管理がされ、異常が起きていない場合に見られるものです。
バラツキの幅が規格よりはるかに小さい場合は、過剰な管理がされている可能性があり、必要以上に管理コストを使っていることが考えられます。
バラツキの幅が問題ないレベルまで管理の度合いを緩和して、管理コストを削減することを検討しましょう。
偏り型は、平均値が規格の片側に偏っているもので、わずかな工程変化によって規格外れとなる恐れがあります。
作業や設備の条件設定のねらいを調整して、中心にくるようにしましょう。
広がり型は、バラツキのすそ野が規格の両側に接しているもので、規格外れの製品が出る恐れが多大にあります。
作業や設備の管理水準を一段、厳しくして、バラツキの幅を小さくしましょう。
ヒストグラムのつくり方
①度数分布表を作成する
データを少なくとも30以上集め、データ表を作成します。
データの最大値・最小値を求めます。
最初に区間の数を決定します。
区間の数は、データの最大値から最小値の間を区分ける数です。
ヒストグラムの棒の数となります。
区間の数は、データ数のルートで算出します。
境界値を求めるためには、区間の幅を算出します。
区間の幅は最大値と最小値の差を区間の数で割ったものです。
区間の幅の最小単位は、測定値の測定単位の整数倍となるように切り上げます。
次のそれぞれの区間の境界値と中心値を算出します。
最初の区間の下側境界値は、データの最小値から測定単位の1/2を引いたものです。
次の区間からは、一つ前の区間の上側境界値と同じになります。
上側境界値は、下側境界値に区間の幅を加えたものです。
中心値は、下側境界値と上側境界値の合計の1/2です。
すべての区間の下側境界値、上側境界値、中心値を算出し、度数分布表を作成します。
データ表から各区間に入るデータを数え、度数分布表度数を記入します。
度数マークは、データを数えるときに使います。
②ヒストグラムをつくる
縦軸に度数、横軸に特性値の中心値を記入します。
縦横は正方形を目安にします。
各度数の棒グラフを記入し、平均値を点線で記入します。
規格値に上限・下限がある場合は記入し、データ数、平均値などを記入します。
③関連事項を記入する
作成した目的、作成日、場所、作成者などを記入します。
7.管理図とは
データのバラツキから、自然のバラツキと異常のバラツキを見極めて、工程が安定した状態にあるかどうかを把握して管理するためのツールです。
ヒストグラムは完了した作業のデータから異常を見つけるツールですが、管理図は、日々、進行中の作業のデータから異常を見つけるツールです。
日常の異常を見える化して不良や不具合を未然に防ぐことがねらいです。
管理図は、計量値データを扱うXbar-R管理図などと、計数値データを扱うp管理図やc管理図などがあり、どのような異常を見つけたいかによって使い分けます。
Xbar-R管理図のつくり方
①データシートを作成する
管理図は、データを測定し集計する単位を群といい、群単位で平均値やバラツキを算出します。
1日1回データを測定する場合は、1日が一つの群となります。
3時間ごとにデータを測定する場合は、3時間が一つの群になります。
1回の測定での測定サンプル数を決めて、測定データを記入するデータシートを作成します。
測定サンプル数を群の大きさと言います。
②管理限界を計算する
管理限界は、異常を判定するための拠り所とするものです。
管理限界に対するデータの状態を見て、異常を判定します。
管理限界は、直近の過去のデータ、例えば前月のデータなどから計算します。
まず、群ごとの平均値Xを計算します。
群ごとの範囲Rを計算します。最大値と最小値の差です。
中心線CLを計算します。群ごとの平均値の平均です。
Rの平均値を計算します。
管理限界は、以上のデータをもとに係数表を用いて計算します。
管理限界には、上方管理限界UCLと下方管理限界LCLがあります。
Xbar管理図の上方管理限界は、群ごとの平均値の平均である中心線に、A2とRの平均値を掛けた値を加えたものです。
逆に、群ごとの平均値の平均である中心線から、A2とRの平均値を掛けた値を引いたものが下方管理限界LCLとなります。
R管理図の上方管理限界は、D4にRの平均値を掛けたものです。
下方管理限界は、D3にRの平均値を掛けたもの となります。
R管理図では、測定サンプル数が7以上の時に下方管理限界を設定します。
③Xbar-R管理図を作成する
横軸に群番号、縦軸にXbar管理図は平均値X、R管理図は範囲Rの尺度を記入し、打点し、線で結びます。
Xbar管理図は平均値X、R管理図は範囲Rを記入します。
中心線CLを実線で、管理限界線UCL・LCLを点線で記入します。
④関連事項を記入する
作成した目的、作成日、場所、作成者などを記入します。
管理図の見方
管理図は、管理限界外の打点がなく、点の並びにクセがない時、安定状態にあると判断します。
「管理限界外の打点がなく」とは、点が上方管理限界UCL、下方管理限界LCLの外に出ないことです。
つまり、連続25点以上管理限界内にある、
連続35点中限界外のプロットが1点まで、
連続100点中限界外のプロットが2点まで、なども安定状態にあると言えます。
また、「点の並びにクセがない」とは、点の並び方に異常な傾向や予兆が見られないということです。
連続:点が中心線の「一方側」に連続して7点以上現れた
片側偏現:点が中心線の「一方側」に連続11点中10点、14点中12点、17点中14点、20点中16点以上現れた
傾向:点が中心線の一方側だけでなくとも、徐々に上昇(下降)し、連続して7点以上現れた
限界接近:中心と管理限界線との2/3を超える点が連続3点中2点、7点中4点以上現れた
周期性:点が周期をもって波状的に上下変動する
これらのいずれかの条件を満たしていれば、安定状態にあるとみなします。
問題解決の記事⇒QC7つ道具:問題解決アプローチとは~問題解決ストーリーで論理的・統計的アプローチ
原因分析手法の記事⇒QC7つ道具とは:層別・チェックシート・特性要因図・散布図のテキスト、作成事例
QCの対策の基本とポイント
※動画チャンネルでQC7つ動画の講座公開中!
QC手法・改善活動についての研修・コンサルティングの無料相談・お問い合わせ |
Copyright © 改善と人材育成のコンサルソーシング株式会社