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2.92017
業務の平準化とは~偏りの見える化と仕事の平準化改善の進め方とコツ
業務の平準化ためのリソースとタスクの平準化の実践方法とツールを事例で紹介
業務管理では、タスクとリソースが偏り、バランスが崩れることに悩まされます。偏りをなくして、タスクとリソースが平準化された状態に維持できれば、業務管理はスムーズに進みます。平準化をするためには、リソースとタスクの量的偏り、時期的偏りを見える化して、シングルタスク(1個流し)と1列待ち改善を行いましょう。
ここでは、偏りの見える化と平準化の方法をツールと事例を交えてご紹介します。
<目次>
作業管理の悩みを解決するには
偏りとは
偏りはタスクの過剰と余剰を生む
かんばん方式のタスク管理とは
平準化とは偏りを無くすこと
人の偏りを無くす平準化のための一列待ち改善
時期的偏りを無くすためのシングルタスク(1個流し)改善
作業管理の悩みを解決するには
業務管理では、業務の段階が進む中で、必要とするリソースや処理するタスクが次々、変わっていきますから、その時々に必要とするリソースとタスクが偏り、結果としてアンバランスとなります。
しかし、偏りはすぐには見えてきません。見えてきた時には、大きな偏りとなって、作業の進行上の妨げとなっています。
偏りが小さなうちであれば、手が打てますが、小さな偏りはなかなか見えないのです。
また、業務では、業務ごとに担当制となって管理されていることが多く、お互いの仕事のタスクの大きさ、優先度が共有されていません。
そのため、タスクの偏りの発生が見えないのです。
偏りには、人への偏りと時期的偏りがあります。
人への偏りは、リソースの偏り、人にかかるタスクの偏りを分けて、見える化し、それが小さい内に共有して、リソースの増強、リソースとタスクのマッチング、タスクの分散をする平準化によって、偏りを無くすことができます。
時期的な偏りは、タスクの集中する時の見える化をして、タスクの分散をする平準化改善、作業の流し方を改善して、タスクの集中を減らしたり、タスク調整幅を広げる事で、偏りを無くす事ができます。
このような、リソースとタスクの見える化とタスク分散の平準化などに役立つのがタスクとリソースの平準化です。
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偏りとは
では、偏りはなぜ発生するのか、そのメカニズムを考えてみましょう。
業務の作業の処理要求は、その時々によって変動します。処理がたくさんある時もあれば、無いときもあります。
業務進行段階や処理の遅れ進みなどによって、処理要求の多い時と少ない時が発生します。
これが時期的偏りです。
人についても考えてみましょう。
人には、それぞれ、得意、不得意、教育や経験の有無から、特定の能力が特定の人に偏ることになります。
これがリソースの偏りです。
同様に、人にかかるタスクも、担当領域の違いやトラブル、変更などの理由から、特定の人に仕事が集中するなどの偏りを発生させます。
これが人へのタスクの偏りです。
偏りはタスクの過剰と余剰を生む
偏りによって、どのような影響があるか考えてみましょう。
リソースと作業の処理要求が一致しないから、タスクの過剰や余剰が生まれます。
リソースは、スタッフの力量や人数などによって決まります。
通常は、一定であり、大きく変動するものではありません。
作業の処理要求は、その時々によって、内容も量も変動します。
リソースに対して、処理要求が多い場合が、タスクが過剰な状態となります。
逆に、リソースよりも、処理要求が少ない場合は、リソースが余剰となります。
このタスクの過剰と余剰は、相互に関連しています。
全体として平均すると、リソースとタスクは釣り合っていたとしても、
偏りがあると、ある時期にタスクの過剰が発生し、その分、別の時期に余剰が生まれます。
タスクの過剰が余剰を生み、余剰がタスクの過剰を生むと言う事になります。
タスクの過剰なときは残業をしなければならないほど忙しくても、一方でやる事がない暇な時期があるということになります。
人の偏りでも同様に、リソースとタスクの違いによって、リソース余剰で暇な人がいる一方で、タスクの過剰な状態で忙しい人がいます。
このように偏りは、計画段階でタスクに合わせて、必要リソースを用意していたとしても、タスクの過剰とリソース余剰を発生させる原因となります。
かんばん方式のタスク管理とは
それでは、偏りを見える化する有効な手法のひとつであるかんばん方式のタスク管理について説明いたします。
かんばん方式のタスク管理は別名ストア管理といいます。ストアとは、言葉通り「お店」をイメージして頂ければよいかと思います。
お店の棚に商品の代わりに”作業”を置いてあり、棚から必要に応じて”作業”を取っていき作業をして、終わったら棚に戻すというものです。
実際に、作業を置くことはできませんので、代わりに作業の内容を書いたタスクカードを置きます。
業務管理におけるタスク管理は、まず、作業展開計画に基づいて、タスクカードを作成します。
タスクカードには、作業の内容やアウトプット、納期や見積もり工数などを記載します。
次にタスクカードを陳列するタスク管理ボードを用意します。
事例のタスク管理ボードは、担当毎の作業予定と作業中、完了の状態を見えるようにするものです。
作成したタスクカードは、今週の予定欄に貼ります。
そして、当日の朝に本日の予定欄に移動し、作業に着手したら作業中の欄に移動します。
このように、タスクカードで書き出した作業が、誰が担当して、その進行状態などがひと目でわかるようになります。
タスク管理ボードに全員のタスクカードを貼り出せば、誰にどのくらいタスクが集中しているのかひと目でわかるようになります。
事例のタスク管理ボートは、担当毎のタスクの偏りを見えるようにしたものです。
時期的な偏りが見たい場合は、これとは異なる形のタスク管理ボードになります。
タスク管理は、何を見えるようにしたいのか、その目的によって、様々なスタイルがあります。
平準化とは偏りを無くすこと
次に、平準化について説明いたします。
平準化とは、リソースやタスクの高さやその差をそろえて、ならすことです。
例えば、事例のグラフは、曜日毎のタスクの量を表したものです。
特定の日のタスクが高くなっています。
この高くなっているタスクを、低いところに移して、高いタスクを分散させて、ならします。
これを平準化と言います。
同様に、人ごとに異なるタスクなどをならすことも平準化です。
人へのタスクの偏りの見える化と平準化
それでは、かんばん方式のタスク管理によって、一人ひとりのタスクの偏りを減らす改善を説明します。
まず、各担当の作業をタスクカードに書き出して、担当別タスク管理ボードに貼ります。
今週の予定と本日の予定に分けて貼り出します。
これにより、各担当のタスクの状況がわかるようになります。
仕事の処理時間がそれぞれ異なり、タスクの重さ、軽さがわからないときは、処理時間に比例してカードの枚数を増やすなどの工夫をします。
まず、本日の仕事のタスクの偏りを減らします。
みんなで話し合って、仕事の配分調整をします。スキルの有無などの制約がある場合は、スキルアップ教育を計画します。
調整するタスクカードが足りない場合は、今週分からの仕事も含めて調整します。
今週分の中に偏りがある場合は、それも調整しておきます。
自分たちの作業を書き出して、見せ合うことで、タスクの偏りを軽減します。
リソースの偏りの見える化と平準化
次にリソースの偏りを減らす改善です。
作業の必要スキルのそれぞれが、誰にあるのかスキルマップで明確にします。
このとき、それぞれのスキル項目に関する手順書の有無も明確にします。
まず、各スキル項目が誰にあるのか見ます。
多くの場合、顧客や分野に偏って、特定の人にスキルが集中しています。
複数の人がスキルを持っているところと、一人しかもっていないところもあります。
最低限、1つのスキル項目に対し、そのスキルのある人を2名にするようにします。
それに向けた、スキル教育を計画します。
ただし、スキル教育を開始する時は、そのスキルの手順書を整備することが先です。
手順書を整備した後、2名体制化に向けたスキル教育を始めます。
2名以上の体制とする場合は、その仕事のタスクや緊急性や重要性などを踏まえて、必要最低限の範囲でスキル保有者の人数を増やします。不用意に人数を増やすことは、スキル保有者のレベル低下を招くことになります。
時期的偏りの見える化と平準化
日々のタスクの偏り改善は、カレンダーを使います。
カレンダーにタスクカードを貼りだします。
カードの集中している日のカードを、空いている日に前倒して、タスクの偏りをなくします。
仕事の段取りや必要情報の有無などによって、前倒しができない場合もありますが、それを前倒しできるようにすることが、日別タスクの偏りの軽減改善となります。
人の偏りを無くす平準化のための一列待ち改善
最後に、偏りを改善することに役立つ、2つの改善の基本手法を紹介します。
最初の基本手法は、一列待ちです。
銀行のATMなどを待つときに、各ATM毎に並ぶのではなく、全体として一列に並ばせるようにしています。
これも一列待ちです。
事例で説明します。
今、二人の人が仕事をしています。
それぞれ担当の仕事を処理しています。
担当の仕事量に差があるため、少ない人は定時で終わって帰り、多い人は残業になりました。
これを一列待ちにしてみます。
二人の仕事を1列に並べておきます。
それぞれ、仕事をこの1列に並んでいる所から取り出して処理をしていきます。
仕事の内容やリソースの違いから二人の処理時間が異なっていても、二人はほぼ同時に仕事が終わり、帰ることができます。
一方だけが残業になるということはありません。
この一列待ちの場合、仕事の処理の平均リードタイムも、それぞれ担当毎に処理していた場合に比べ、30%以上はやくなります。
一列待ちタスク管理の方法とツール・事例
一列待ちを取り入れたかんばん方式のタスク管理の事例です。
担当別タスク管理では、担当毎にタスクカードを並べてタスクの偏りを見える化します。
このとき、今週の予定欄は、担当別に分かれていて、各担当の今週の予定欄のタスクカードは、各担当の今日の予定欄に移動します。
一列待ちを取り入れたタスク管理は、今週の予定欄が全員でひとつの欄になります。
今週の予定欄のタスクカードは、全体として一列待ちに並べられ、各担当に割り振られて処理されます。
このようなタスク管理ボードによって一列待ちの原則による作業の流れの改善ができます。
時期的偏りを無くすためのシングルタスク(1個流し)改善
次の基本手法は、シングルタスク(1個流し)です。
仕事は、一度に1つだけ行い、1つが終わったら、次の仕事に着手するというものです。
事例は、AとBとCの3つの仕事をするとします。
担当者は、ABCを一度に着手しています。
3つの仕事を同時に行うことはできません。
例えば、ABCの仕事をそれぞれ1/3一ずつに分けて、処理していきます。
次の工程には、ABCほぼ同じタイミングで渡されます。
これをシングルタスク(1個流し)にしてみると、
担当者は、ABCの仕事を1つずつ、やりきってから次に着手します。
次の工程には、1つずつ、終わり次第、仕事が引き渡されます。
リードタイムは、同時着手に比べて半分以下となります。
シングルタスク(1個流し)では、仕事がまとめて引き渡され、いきなり繁忙になるという偏りがなくなります。
シングルタスク(1個流し)タスク管理の方法とツール・事例
シングルタスク(1個流し)を取り入れたかんばん方式のタスク管理の事例です。
作業中の欄を小さくして、タスクカードが一枚しか貼ることができないようにします。
これにより、作業中のタスクカードは一枚しか貼ることができず、一回にひとつの作業だけを行う、シングルタスク(1個流し)の作業が徹底できるようになります。
以上、タスクとリソースの平準化改善を紹介してきました。
ここで紹介した方法は、必ずしもタスク管理という手法でなければできないものではありません。
作業計画書や作業日報などに、ここで紹介した考え方を取り入れて、見える化や平準化を行う事ができます。
自分たちに合った、見える化や平準化を工夫してみてください。
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