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3.302024
製造業の人手不足解消事例11選!具体的な解決方法や手順も解説
製造業の人手不足の3つの原因に対する対策を事例も交えて解説
「製造業の人手不足を解消した事例を見たい」「人手不足解消の具体的な方法とは?」
このように考えている方も多いでしょう。製造業の人手不足は解決しないと業績悪化や社員離職につながります。
この記事では、コンサルを活用したOJTやMTOアプリで業務を正しく管理する施策のほか、社員のモチベーションを向上させるための方法などについて解説します。
<目次>
製造業の人手不足の原因は3つ
おまかせ教育になっている
推測で業務改善を行なっている
社員のモチベーションが低い
今いる人材で人手不足を解消する3つの方法
コンサルタントを活用したOJT
MTOアプリで正しく業務管理
社員のモチベーションを向上させる
製造業の人手不足解消事例11選
エイベックス株式会社の事例
エヌ・エス・エス株式会社の事例
株式会社光真製作所の事例
大起産業株式会社の事例
TIY株式会社の事例
冨田酒造有限会社の事例
兵庫ベンダ工業株式会社の事例
HILLTOP株式会社の事例
武州工業株式会社の事例
株式会社ホーユーウエルディングの事例
株式会社保志の事例
まとめ
製造業の人手不足の原因は3つ
人手不足を解消するために、新規人材の獲得を目指す企業もあるでしょう。
しかし、人材確保は一時的な救済措置にすぎず、以下に挙げる3点を改善しないと人手不足は効果的な改善が見込めません。
改善すべき製造業における人手不足の原因は、主に以下の3点です。
1.社員の育成・戦力化の遅れ
2.生産性が高まらない
3.製造現場の管理レベルが低い
それぞれ詳しく解説します。
社員の育成・戦力化の遅れ
社員の教育訓練は、知識教育と説明をしたあと、仕事に従事させて、経験を通じてスキルを高めるOJT(On the Job Training)によるトレーニングが広く行われています。
知識教育と経験させるだけのOJTだけで、自分のレベルアップの度合いを見える化する仕組みのない教育訓練は、成長を体感することかできず、モチベーションが高まらず、スキルアップに時間がかかり、人による差も大きくなります。
このような育成方法では、中核人材として期待する若手の育成が進まず、戦力として一人前になるのに時間がかかり、意識も能力も高まりません。
育成と戦力化の遅れは、苦労して採用した人材のやる気と能力を低下させ、定着率の低下にもつながります。
生産性が高まらない
合計や平均でまとめられた生産実績データや作業者任せの作業日報に基づいた改善は、生産性向上につながる的を射た改善ネタを見つけられないため、生産性改善が進みません。
日々の作業進捗や生産性レベルのデータを収集できていないと合計や平均でまとめられた生産実績データや作業者任せの作業日報に頼った改善となってしまいます。
このようなデータからは、生産性低下の原因究明ができず、感覚やハロー効果による推測での改善が行われ、的外れな改善を繰り返すことになり、生産性が高まりません。
的外れな改善は貴重なリソースをムダにしてしまうだけでなく、人のやる気を削ぐことにもなり、ますます生産性の低下を招いてしまいます。
製造現場の管理レベルが低い
生産や作業の状況を把握し管理する仕組みがないため、作業を見聞きし、生産された製品などを確認する属人的管理となっていないでしょうか。
属人的な管理によって、管理者が生産変動や異常への対応に追われると、生産や作業の状況の把握ができず、トラブルの未然防止がされないため、生産変動や異常の発生を繰り返し、生産性が低下し、人手不足に拍車をかけます。
見える化やIotデバイスなどによって作業の進捗をリアルタイムで把握し、実行状況から次の作業を指示するJIT型の作業の指示・管理にって変化や異常への対応力を高めてロスのない作業ができるようにしましょう。
今いる人材で人手不足を解消する3つの方法
IoTデバイスの導入によって育成と改善を加速させ、今いる人材で人手不足を解消することができるようになります。
IoTとは「モノと情報を結び付けて管理する方法」のことです。
製造現場では、これを拡張し、モノと情報に加えて、コト=人の作業などもデジタルで連動させて管理する方法が広がっています。
製造現場にIoTデバイスを取り入れることで、以下のメリットが得られます。
●作業毎の実データから工程や作業、設備の問題と原因が見える化できる
●教育や改善の効果が数値によって測定できる
ITツールを積極的に活用し、業務の改善を進めていくDX(デジタルトランスフォーメーション)を用いて、業績の改善が期待できます。
DX化が政府によって推奨されており、製造業を含む企業のDX化はこれまで以上に重要視されていくと考えられています。
人手不足解消が目的の場合、国からの助成金が対象となる場合もあるため、これらデバイスやツールの導入を検討するのもよいでしょう。
IoTデバイスを活用して、今いる人材で人手不足を解消する方法は以下の3つです。
●人の育成と戦力化の加速
●的を射た改善で生産性を高める
●製造現場の管理力を高める
これらのノウハウを導入すれば、大幅な人手不足改善が見込めます。
それぞれの要素について詳細に解説します。
人の育成と戦力化の加速
社員の育成と戦力化を加速させるためには、IoTデバイスなどによって、日々の作業成績の見える化をして、成長を体感させるやる気を引き出し、効率的なスキルアップをさせる「習熟スピード加速」と「ゲーミフィケーション」を取り入れることがおすすめです。
IoTデバイスによって、自分の作業スピードとバラツキを認識させて、ペースとリズムをつかませ、安定させる工夫と改善によって習熟度が高まり、作業時間の短縮と品質向上ができるようになります。
ゲーミフィケーションとは、「業務にアイテムの獲得やレベルアップ、社員同士の競争などのゲーム要素を取り入れて、社員の意欲向上や帰属意識の強化を図ること」です。
ゲームフィケーションの導入は日常的に行われている業務に対し、高いモチベーションを与えます。
社員のモチベーションが向上すれば、業績が安定し社員離職も抑えることができるでしょう。
また、ポジティブな感情で働いていれば労働環境が活気づきます。社員の満足度が上昇すればいい口コミが広がり、会社の評価もさらに高まるかもしれません。
的を射た改善で生産性を高める
職場全体の合計や平均からの算出したデータでは、生産性低下の原因を特定することは難しく、真因を特定した改善はできません。
IoTデバイスで、作業者一人ひとりの作業状況のデータを収集することで、付帯作業比率、アイドル時間の大小、人や設備、製品別差異、バラツキなどから原因を特定して、的を射た生産性改善ができるようになります。
改善前後での生産性の変化がわからなければ、改善内容の有効性が評価できず、的を射た改善とはなりません。
改善を実施した工程や作業、設備の改善前後の効率の変化、推移のわかるデータを記録することで、改善内容と照らし合わせることができ、改善案の有効性がわかり、的を射た改善を行うことができるようになります。
的を射た改善で生産性を高める
変化や異常の発生の多い製造現場では、計画基準の作業指示と管理では、その場しのぎの管理によって特急や挽回作業などのロスが多くなります。
また、計画や在庫依存の管理は、各工程の能力差異や進捗遅れ、異常への対応が遅れ、ロスが多く、生産能力のムダ使いから脱却できません。
差立板とIoTデバイスによって作業の進捗をリアルタイムで把握し、実行状況から次の作業を指示するJIT型の作業の指示・管理によって変化や異常への対応力を高めてロスのない作業ができるようになります。
また、日々の製造における変化や遅れ、異常を時間単位で把握し、工場全体で対処できるTPS型の製造実行管理システムによって生産ロスを減らし、生産性を高めことができます。
製造業の人手不足解消事例11選
製造業の人手不足解消に成功した事例11選を紹介します。
1.エイベックス株式会社
2.エヌ・エス・エス株式会社
3.株式会社光真製作所
4.大起産業株式会社
5.TIY株式会社
6.冨田酒造有限会社
7.兵庫ベンダ工業株式会社
8.HILLTOP株式会社
9.武州工業株式会社
10.株式会社ホーユーウエルディング
11.株式会社保志
自社の人手不足解消につながるヒントがあるかもしれませんので、ぜひご覧ください。
エイベックス株式会社の事例
愛知県名古屋市にあるエイベックス株式会社の課題は、新入社員が定着しないことでした。
若手の離職理由の多くが、新入社員が入社1年未満の社員に業務を教わる点や、上司の目が行き届いていない点を挙げています。
実際に2012年度の離職率は13.2%で、入社10年未満の社員が9割を占めていた時期もありました。
しかし、入社日にあらかじめ把握しておいてほしい経営理念や製品、価格について「導入形式」で研修を実施しました。また、年3回の「共有デー」を設けて再教育を行うことで、2016年1月には離職率が5.4%と大幅な低下につながりました。
エヌ・エス・エス株式会社の事例
新潟県小千谷市にあるエヌ・エス・エス株式会社では、業務量の増加にともなう時間外労働の問題を抱えていました。
受注製品の増加や多品種対応により、加工時間の増加の課題があったことが主な理由です。
しかし、最新型機械の導入により業務が合理化し、段取り・加工時間の短縮が見られ生産性が向上しました。
また、IoTシステムの導入により、加工実績データを一元化し、時間浪費の低下にも取り組んでいます。
その結果、生産性の向上につながりました。
株式会社光真製作所の事例
株式会社光真製作所は滋賀県草津市が所在地の会社です。
光真製作所ではノウハウを持つ高齢者の活用と、そのスキルの継承がスムーズに進まないといった悩みがありました。
しかし、定年後希望者全員をパートタイムで70歳まで働けるようにし、現在は年齢の上限を設けず再雇用を実施しています(最高齢80歳)。
この制度を実施したことにより、高齢者が若手社員のよきアドバイザー的存在になり、指導者としての活躍を見せ、技能の継承が促進されました。
また、若手と高齢者のコミュニケーションも円滑になりました。
大起産業株式会社の事例
大起産業株式会社は三重県員弁郡東員町の会社で、若手の離職が多く、社員に負担がかかりビジネスチャンスを逃している課題がありました。
新卒者が入社1年未満で離職する割合は約17%で、3年未満では約48%と入社年数が経過するにつれて、離職率が高まる傾向にありました。
離職者を減らすために、教育者と相談する「メンター制度」を導入します。週に1回以上の頻度でメンターに相談できる環境を整えてからは、新卒採用者での退職者は現れていません。
また、このメンター制度は中途社員へも適用し、お互いの関係を良好に保つ役割も担っています。
TIY株式会社の事例
愛知県稲沢市に所在地を置くTIY株式会社では、他品種・小ロットの生産に対応するため短時間でも働ける人材の確保が必要でした。
そこで人手不足を解消するために、長年の経験による発想力と熟練経験者ならではの着眼点で、顧客の要望にあわせた特注部品やオーダーメイド治具の開発を実現したのです。
製品製造工程を可能な限り細分化し、単純化することに加え、各工程に特化した専用機器を自主開発することで効率化が可能になりました。
冨田酒造有限会社の事例
冨田酒造有限会社は滋賀県長浜市に所在地を置く会社です。
高い機能を持つ設備の導入で、授業員の負担を減らしつつ会社全体の生産性の向上を実現させました。
具体的には、ラベラーの導入により、タックシール式のラベルを自動で貼ることを可能にしました。
また、正確な温度管理をするためにタンクやプレートヒーターなど高クオリティな設備を導入したことも生産性の向上に寄与しています。
ラベル貼りなどの作業が短縮されたことで、出荷作業などのそのほかの作業にリソースを割けるようになり、会社全体の作業効率が改善されました。
兵庫ベンダ工業株式会社の事例
兵庫ベンダ工業株式会社は兵庫県姫路市に所在地がある会社で、IoTやAIの活用で社員の業務をサポートし、働きやすい環境を整えました。
採用しても約半分が3年で辞めてしまい、社員の定着率の低さが今までの課題でした。
作業における無駄な工数の削減や少人数で工程管理ができるように小型センサーを活用し、工場内の人の流れの計測を試みます。
小型センサーの導入は成功し、その結果、経営の透明性が増加し、コスト削減にもつながりました。
HILLTOP株式会社の事例
京都府宇治市に所在地があるHILLTOP株式会社では、多品種小ロット生産で利益を生み出すために生産管理システムを導入しました。
生産管理システムを導入したことで、機械は大量生産のルーチンワークを行い、人間は人間にしかできない知的労働に従事できるように環境が整いました。
これにより、生産性が飛躍的な向上を見せます。
また、熟練者の持つ技術をデータベース化したことで、完成度の高い一定のクオリティーを保った加工ができるようになりました。若い人材も定着させられる製造業へと変化を遂げました。
武州工業株式会社の事例
武州工業株式会社は東京都青梅市に所在地がある会社です。
国内生産でも勝てる仕組みを構築する必要があり、そのために人材育成や生産性の向上に努めていました。
そこで、短期間で技術を習得するために、教育訓練の仕組みを構築・定着させ、同一労働・同一賃金を徹底します。
また、パート社員から正社員への雇用を促進したり、時短正社員制度を設けたり、社員の定着を図る取り組みを積極的に行いました。
このような取り組みを行うことで、社員一人ひとりが主体的に働き、企業としても高い評価を得て受注増加につながりました。
株式会社ホーユーウエルディングの事例
兵庫県伊丹子に所在地がある株式会社ホーユーウエルディングでは、半自動溶接工を技術職として雇用しましたが、定着しませんでした。
その原因に工程数が多く、難しい業務であったことが挙げられます。
半自動溶接のロボット化に着目し、ロボットを導入をしました。
ロボット化により作業や品質が安定したことに加えて、休暇を取得しやすくなり、人材の定着につながりました。
また、バーベキューや旅行などの社内イベントも積極的に開催し、社員同士の親睦を深める機会も設けています。
株式会社保志の事例
株式会社保志は福島県会津若松市に所在地がある会社です。
社員の平均年齢が50代であり、若手社員の定着に問題を抱えていました。
そこで、企業理念や技能を継承するために新人に向けて、年配社員が講師となり「訓練道場」を行いました。
また、若手先輩社員がメンターとなり、一人ひとりのスキルアップやメンタル面をフォローする取り組みも始めます。
このような取り組みを行った結果、新入社員の定着につながり、社員の半数が20〜30代の職場に変化しました。
まとめ:人手不足のための改善はコンサルソーシング株式会社におまかせ
製造業の人手不足解消には、以下の3点が効果的です。
●人の育成と戦力化の加速
●的を射た改善で生産性を高める
●製造現場の管理力を高める
詳しくは、こちらで説明しています。
コンサルソーシング株式会社では、約3万人の人材育成と2,400に及ぶ改善コンサルの実績があり、製造業における人手不足の解消に日々努めています。
ご質問・ご相談も承っておりますので、ぜひ下記よりお気軽にお問い合わせください。
Q1:人手不足解消に成功した企業はありますか?
A1:はい、あります。経済産業省の「中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会
中小企業・小規模事業者の 人手不足対応事例集」によると、複数の企業で、設備の導入や従業員育成などの対策を施した結果、人手不足解消に成功しています。
参考サイト:中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集
Q2:人材補充以外で人手不足の解消の方法はありますか?
A1:はい、あります。コンサルタントを活用したOJTが一つの例です。愛知県名古屋市にあるエイベックス株式会社は、入社日に導入形式の研修を実施したり、年3回の共有デーを設けて教育したりといった対策を施しました。この取り組みにより、2016年1月には離職率が5.4%と大幅に低下しました。
Copyright © 改善と人材育成のコンサルソーシング株式会社